今月号のDIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(DHBR)では、プラットフォーム戦略について特集しました。いまや自ら事業を提供する主体に対し、事業の「場」を提供するプレイヤーの重要性が急速に高まってきました。それはネットの登場で、事業の提供する場の多様性が圧倒的に高まったからに他なりません。

 人と人、人とモノ、そしてモノとモノが容易につながるようになる。必要な情報もピンポイントで得られるので、つながる前提の「信用」も容易に築けます。特集では、東京大学の暦本純一先生にインタビューさせていただきました。暦本先生は、AI(人工知能)がネット上で情報を判断して相手の信用を判断できるようになることから、経済主体としてAIが独自に参加するであろうとお話されています。つまり、我々は近い将来、ネットのオークションサイトなどで、知らずにAIからモノを買ったり、売ったりする時代が来るというのです。これは銀行の与信管理をアルゴリズムが担っている現状を考えると、何ら不思議はありません。

 さらにいうと、機械と機械が勝手に、売り・買いをしている世界も訪れます。現に金融市場では、ほぼ似たような構造が出来上がっているので、この世界がもっと人の嗜好に左右される世界に入り込んできても何ら不思議はありません。

 プラットフォームはあくまで「場」であって、主役は製品やサービスなので、これまでのビジネスがなくなるわけではありません。優れた製品やサービスは今後も、経済価値の源泉であることも間違いありません。その一方で、その提供手段において、革命的な多様性が生まれているのは確かです。そのような「場」をいかに使いこなすかは、ビジネスとしての根底に関わる大きな課題になりつつあります。

 プラットフォームの進化は、自らプラットフォームの位置を狙おうとする企業や経営者のみならず、独自の製品やサービスを提供する人にも深くかかわる問題だと実感します。(編集長・岩佐文夫)