自社だけでなく外部と組みながらエコシステムを構築

――テクノロジーが進化し、インターフェースが向上すれば、いままで使っていなかった人も利用するようになる――。FinTechという言葉が登場する前から、そうした考えがあったのですか。

 金融教育や投資啓もうって、すごく大事だと思うのですが、やはり時間がかかります。お金に関する難しいことも、本当によいサービスをつくれば、みんなが使ってくれるのではないかという仮説があって、その仮説を検証するために起業した部分は大きいですね。FinTechっていま、バズワードになっていますけれど、僕らは別にFinTechをやっているわけじゃなくて、ユーザーにとっていいサービスをつくりたい、ただそれだけの思いでひたすら取り組んできました。

 そういった意味では、かつて所属したネット証券がFinTechそのものであり、FinTech1.0と言えるかもしれません。業界構造や個人投資家の投資行動が大きく変わる地殻変動になりました。ただ、ネット証券にいて思ったのは、ネット証券を利用できる人って、一部だなということ。約300万口座とはいえ、1億2000万人のなかではほんの一部です。それよりも、クックパッドや食べログみたいな、だれもが使えるお金のサービスがあったほうが、日本人のお金のリテラシーは上がると思ったわけです。

 FinTechの本質は、いくつかあると思いますが、一つは圧倒的にコストが下がることです。ネット証券もネットによって顧客獲得コストが圧倒的に下がったので、手数料を下げることができました。もう一つは、マッチングが簡単になったことです。FinTechによってコストが下がり、個人と個人、法人と法人のマッチングが進むことによって実現するビジネスがあると思いますし、いままでになかったデータを基にして、新たなレンディングや決済の仕組みが構築できると思います。

――国を挙げてFinTechを後押しする動きがありますが、マネーフォワードとして目指す今後の方向性は。

 社内では、個人や法人のお金のプラットフォームになりたいね、という議論をしています。そのプラットフォーム上で、いろいろなサービスとつながってエコシステムをつくりながら、本当にユーザーが便利になるサービスを提供していきたい。自分たち1社ですべてやるのではなく、いろいろなプレーヤーと組みながら、取り組んでいきたいと考えています。

(構成/堀田栄治 撮影/西出裕一)