さらに、顧客対応の品質についても、日本を含む先進国は無関心化が進んでいて、不快を感じてもクレームをつけたり乗り換えたりする人が減っています。「過去1年間に、企業の応対で不快な経験をした際、他社に乗り換えた、または乗り換えを検討しましたか?」の問いに対し、「はい」(検討・購入段階)と答えたのは日本では41%と半数以下ですが、米国は54%、新興国の中国・インドはそれぞれ81%、70%です。

“従順”だった消費者は
“わがまま化”を経て“無関心化”へ

――日本ではなぜ、「無関心化する消費者」が増えたのでしょうか。

 さまざまな理由が考えられますが、要因の1つは情報の海に溺れてしまい自分で吟味できず、ジャッジメントを放棄してしまっていること。日本では製品・サービスの品質にあまり差がないため、どれを買っても同じだろうという、あきらめもあるでしょう。

 また、先進国の中でも日本の消費者は、オンラインで購入する場合、アマゾンや楽天などの総合ショッピングモールを利用する割合が米国に比べてかなり高いことがわかっています。アマゾンや楽天は、買い物履歴などのデータをもとに、自分向けの商品を次々とこれでもかというほどレコメンドしてくれる。自分で選ばず、それに安住すればラクですから、これも無関心化の要因の1つといえるでしょう。

 こうした消費者行動の変化と切り離せないのは、やはりインターネットの普及です。

 かつては、店頭に並んだ商品の中から、自分がいいと思ったものを選んで購入していました。米国のP&Gは「消費者は商品棚を見て最初の3~7秒で購入する商品を決めている」というリサーチから、商品の配置や陳列が商品選択の決定的な瞬間を左右するというマーケティングモデル「FMOT」(First Moment of Truth)を開発しました。この時の消費者の商品選びの姿勢は“従順”でした。つまり、そこにあるものの中からできるだけ自分の欲しいものを選んでいたわけです。

 それが2010年頃にスマホが普及し始め、多種多様な情報が手軽に入手できるようになると、多くの候補の中から事前にリサーチ・比較検討を行い、自分の要求に合致したものを購入するようになります。合致しなければ購入しない"わがまま化"が進んだのです。

 このステージでは、消費者は店に行く前にネットで検索したりレビューなどを見て、どれを購入するか決めます。このように実店舗に行く前に購買意思決定の瞬間があるとするマーケティングモデルが、グーグルが提唱した「ZMOT」(Zero Moment of Truth)です。