十分な代価を得ているか

 新製品に十分な価格を設定できていないことを示す兆候が、いくつかある。

 1つ目は、営業チームが販売目標をたやすく達成してしまうこと。2つ目は、販売チャネルのパートナーが、その製品の販売から大きなマージンを得ている場合。3つ目は、特にB2Bにおいて顕著であるが、顧客から自社の営業担当者に対して、「価格面に不満があるため、もっと上の人間と購買交渉をしたい」という要求がほとんどない場合だ。

 しかしもちろん、ミニベーションは最初から回避するにこしたことはない。では、どうしたらよいだろうか。

 最も重要なステップは、製品開発チームが設計計画に着手するはるか以前に、支払意思についてターゲット顧客とじっくり話し合うことである。これは、会社が新製品の開発に何らかのリソースを割り当てるよりずっと前に実施されなくてはならない。顧客との会話を通じて、彼らが具体的にどの機能を喜ぶのか、その機能に実際にお金を払う意思があるのか、そして、いくらなら出せるのかを判断するのだ。

 ほとんどの企業では、ターゲット顧客とのこうした話し合いが行われることは、驚くほどまれである。我々が2014年に実施した調査によれば、40ヵ国以上・1600社のうちの80%は、新製品の発売前にこのような対話を顧客と行っていなかった。

 これらの企業は基本的に、ただ製品を開発して、発売に向けて準備し、最後に価格を無造作に決めている。顧客が製品の価値をどう評価するのか、支払意思額はどの程度なのかは把握せずに、である。市場投入を前に、イノベーションを収益化したいという願望はあるが、現実的な根拠がないのだ。

 これこそが失敗を導く原因である。顧客はどの程度の支払意思があるのか。それを製品開発の早い段階で聞くことは、ミニベーションを回避するうえで大いに役立つはずだ。そして、全社的に新製品の失敗率を下げることにつながるだろう。


HBR.ORG原文:Your New Hit Product Might Be Underpriced May 24, 2016

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マドハバン・ラマヌジャム(Madhavan Ramanujam)
価格戦略のコンサルティングを行うサイモン・クチャー&パートナースの取締役兼パートナー。共著にMonetizing Innovation: How Smart Companies Design the Product around the Priceがある。

ゲオルグ・ターケ(Georg Tacke)
サイモン・クチャー&パートナースの共同CEO。共著にMonetizing Innovation: How Smart Companies Design the Product around the Priceがある。