授かり効果を軽減する方法

 幸いにも、授かり効果は軽減できることが諸研究で示されている。

 効果的なやり方の1つは、買い手(非所有者)と売り手(所有者)の意識を、通常ならば注目しない情報に向けさせることである。購入前に、買い手にはその物から得られるであろう価値特性(買うべき理由)を考えてもらうと、対象をより高く評価するようになる。また売り手には最初に、受け取るお金(その物を所有することの機会費用)で何をしたいのかを考えてもらうと、物を手放す際に要求する金額が下がるようだ。

 2つ目の効果的なやり方は、人が物の価値を評価する際に依拠する参考価格を変えることだ。物の購入や取得の際には、売り手に対してより安い代替物を連想させるとよい。たとえば、同じ物の中古品や、もっと経済的な類似品などだ。逆に販売・交換の際には、買い手に対して提供物より高額な代替物を連想させれば価値評価が上がるかもしれない。

 3つ目のやり方は、買い手にその物を触らせたり、(所有権は与えずに)手元に預けたりすることだ。あるいは、単に所有していると想像させるだけでもよい。

 さらに、商品をタッチスクリーン上で操作する、商品の引き換えクーポンを受け取る、オークションで一時的に最高入札者になる、といった体験を通じて所有意識が高まれば、授かり効果が喚起されうる。

 授かり効果は売り手と買い手のどちらにとっても、交渉の対象となる物の価値評価をめぐる対立のタネになりうる。その影響を意識し、緩和する方法を心得ていれば、知覚価値のズレを把握して減らすことができる。ひいては、関係者全員をより満足できる合意に導く可能性が高まるのだ。


HBR.ORG原文:Why Buyers and Sellers Inherently Disagree on What Things Are Worth May 13, 2016

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キャリー・K・モアウェッジ(Carey K Morewedge)
ボストン大学クエストロム・スクール・オブ・ビジネス准教授。マーケティングを担当。