全社的にコストをカテゴリ分類し
横串でコストダウンを検討する

――では、ZBBはどのような手順で進めるのでしょう?

井上 最初に、企業のデータをすべてそのままアウトソーシングセンター(アクセンチュアでは大連など)に送り、そこでこれまでにない詳細レベルでのコスト可視化を行います。「誰が」「何に」「どのくらい」費やしているのかを明らかにするためにトランザクションレベルでチェックする。例えば、広告費1億5000万円と大ざっぱに処理するのではなく、クリエイターへの支払いが5000万円、花瓶が10個50万円、コップ2個3000円といったように、かつてないほどの細かさで経費を明確にしていきます。

 次に、そうして明らかになったコストを、トラベル、ファイナンスサービス、ファシリティ、福利厚生といったカテゴリごとに横串を指すように分類してコストダウンの余地がないかを検討します(下図)。コストカテゴリは大分類で16項目程度、中分類では最大140程度。業界ごとのベストプラクティスを指標にして検討することもできます。

 そしていざコストダウンとなった場合は、全社を横断するコストカテゴリごとのオーナー(役員、部長など)の責任の下で実施します。例えば、トラベルコストのオーナーは、世界各国の営業所、工場などを含む企業全体のトラベル関連のコストについて責任を持つという具合です。

赤羽 こうしたシステムにすることによってどんなメリットがあるのか。それは、他社や他地域との比較によって現状を改善する思考・習慣が身につくということです。ある国で紙の使用量が際立って多ければ、電子化が遅れているのではないかといった思考に至り、コストダウンの切り口が見えてくるわけです。

浮いたお金を再投資して
高サイクルで事業を回す

――ZBBは、とくにグローバル企業、大企業で威力を発揮するそうですが、具体的にはどのような効果が得られますか。

井上 一番は、即座に大きなコスト削減効果が出ることです。このため、例えば最初の半年でコストを大幅に下げ、浮いたお金で半年後に構造改革に着手するといったように高サイクルで事業を回すことが可能になります。通常、構造改革の資金を自前で用意するとなると、数年はかかりますが、それがスピーディにできるということです。

 詳しく言えば、購買による単価削減、つまり何らかのモノを少しでも安く買うようにするのではなく、社員などの消費をコントロールすることで間接費をベースラインの15~20%程度削減することができます。アクセンチュアでは現在、世界的な大手消費財企業の某事業部門でZBBの導入を進めていますが、1年目の今年、200万ドルの削減を見込んでおり、削減額の半分はオペレーション改善に、もう半分は商品開発・デジタル投資に回す予定です。