今こそ組織を再構築する

 CSPはデジタル時代における競争力を高めるためにさまざまな戦略を実践しています。しかし、ワークフォース構造とデザインの見直しについては、遅々として進んでいない状況があります。

 たとえば、典型的なCSPとシリコンバレーの企業のワークフォース構造を比べてみましょう。アクセンチュア・ストラテジーによる最近の分析では、著しい違いが明らかになりました。ソーシャルメディアや求人サイトを分析した結果、CSPの最近の求人情報の約半分(45%)はセールスおよびカスタマーサービスの分野が対象で、エンジニアリングやIT分野の求人はわずか12%にとどまりました。シリコンバレー企業では、この割合がほぼ逆転します。セールスおよびカスタマーサービス分野の求人が13%だったのに対し、エンジニアリングおよびIT分野の求人は51%に達したのです1

 ワークフォース構造と同じくらい重要なのが、組織のデザインです。俊敏性、実験、エンパワーメントといった重要なコンセプトを実践できなければ、現代のCSPはリーンでフラットな組織を構築することができません。そうした組織デザインは、小規模なチームへの権限付与や、迅速なイノベーションの実践を妨げてしまいます。にもかかわらず、多くのCSPは今なお厳格なヒエラルキーや、大きなチームを分割したサイロ化された組織、何層にもなった承認プロセスでがんじがらめになっているのです。

 ワークフォース構造と組織デザインを転換できないCSPは、デジタル人材をうまく生かせる明敏なライバル企業に、あっという間に市場を奪われてしまうでしょう。

出典:アクセンチュア

「従業員」という枠に縛られない人材確保戦略

 21世紀のCSPに必要とされるデジタル人材を確保するには、最も価値あるワークフォースの一部を「従業員」ではなく、「貢献者」というかたちで採用することが大切です。すべての重要な人材を社内のスタッフとして抱え込むのではなく、大学やサプライヤー、消費者の中から「オンデマンド」で見つけて、より戦略的かつ協働的に採用しなければなりません。たとえば、アウディのバーチャル・ラボではデザイン・エンジニアがウェブベースでリアルタイムに7,000人を超える顧客と情報交換を行い、車載マルチメディア・システムの共同開発を進めています2

 なぜ、「従業員」という枠に縛られない人材確保戦略が必要なのでしょうか? 答えは、競争環境が変化したからです。成功のために不可欠なデジタル・スキルはハイテク分野だけではなく、消費財や金融サービス、メディア、エンターテインメントなど多様な領域でニーズが高まっています。では、最も優秀な才能はどのような道を歩むのか? 問題はそこです。最近のアクセンチュア・ストラテジーの調査では、米国の大学卒業生で通信業界での就職に興味があると回答したのは、全体のわずか12%にとどまりました3

 以上のようなことを踏まえると、「従業員」という枠に縛られない戦略がいかに重要であるかは一目瞭然です。CSPの幹部は今までとはまったく違うアプローチから、どのような人材が必要で、彼らがどこにいるのか、またどのようにすれば彼らを確保できるかを考えなければならないのです。

出典

  • 1 ソーシャルメディアでの求人情報をアクセンチュアが分析(市場シェアを基に両グループの代表サンプルを抽出)2015年、4月
  • 2 How companies tap the potential of innovative users—examples from Germany (part II), InnovationManagement.se, retrieved August 21, 2015
  • 3 “Are you the weakest link? Strengthening your talent supply chain,” Accenture, 2015