すべてのデジタル化によって到達する、新たなパーソナライゼーション・レベル

 IoT対応のセンサーやデバイスが爆発的に増えています。保険会社はこれらのデバイスから収集されるデータを用いることで、「リスク防止と保護」「保険料と補償範囲の最適化」「付加価値サービスの提供」という3つの側面から、顧客のニーズにより良く応えることが可能になります。たとえば、水漏れの有無をモニタリングして問題発生時に顧客に知らせれば、顧客は直ちに水漏れを防ぐ措置を講じて、被害を最小限に食い止めることができます。付加価値サービスの例としては、顧客の代わりに配管工に連絡するといったことが考えられます。このようなサービスを利用する顧客には、住宅保険の割引を行うこともできるでしょう。これらの例が示すように、これからの保険会社は急速に構築されつつあるIoTインフラを活用して、必要なデータをリアルタイムで取得しなければなりません。新たなパートナーとの関係構築やエコシステムへの参加を推し進めて、「保険」という括りを超えた新しいサービスを提供していくことも大切です。

 業界を牽引する保険会社の中には、すでにこの方向性を追求している例もあります。たとえば、スタートアップや社外パートナーと提携してデジタル・イノベーションを加速化させている保険会社(16%)や、異業種の企業と提携して顧客に関連性の高い商品/サービスを多岐にわたり提供している保険会社(17%)があります8。具体的な例として、フランスのDirect Assurance(ダイレクト・アシュアランス)は保険加入者の自動車から収集したデータをもとに、パーソナライズされたドライビング・アドバイスを日常的にソーシャルメディア経由で提供したり、保険料の算定基準となる月間スコアを算出したりする、「You Drive(ユー・ドライヴ)」というサービスを提供しています9。また、ウェルネス・プログラムやロイヤルティ・プログラムをグローバルに展開するVitality(バイタリティ)は、John Hancock(ジョン・ハンコック)、Generali(ゼネラリ)、Ping An(中国平安保険)といった保険会社と提携。保険加入者のウェアラブル端末などから収集するデータに基づいてライフスタイルの健康度を測定し、予防的なフィットネス/ヘルスケア・コーチングを提供するほか、保険料の割引サービスを行っています。このほかにも、Vitalityは保険加入者の健康的な行動に対し、旅行やレジャー、栄養食品購入時の割引サービスを提供しており10、顧客に喜びをもたらす高頻度なモバイル・インタラクションを実現しています。

 デジタル志向な先進的な保険会社は、IoTを活用したパーソナライゼーションをチャネル横断的に実践する能力を身につけています。それにより、幅広い顧客ニーズに応え、リスクを軽減する付加価値的サービスを提供することができます。そこで考えられるのは、たとえば以下のようなサービスです。

  • 自動車関連のサービス:交通情報や走行条件の提供、安全なルートの提案、ディーラーへの予知保全(オイル交換、タイヤ・ローテーション、定期サービス)の予約、衝突事故発生時の緊急サービスへの連絡、走行速度のモニタリングなど。
  • 安全/セキュリティ/エネルギー管理関係のホーム・サービス:水圧やガス漏れのモニタリング、住宅への不法侵入や不審な動きの検知、スマート・サーモスタットやスマート・ソケットの導入など。
  • ライフスタイル・サービス:健康的な食生活やエクササイズの促進、医師から推奨された治療や投薬スケジュールの順守状況のモニタリングなど。
  • これらの全サービスを集約したモバイル保険コンパニオン・サービス:顧客がより安全で、より良い暮らしを享受できるよう支援する。

 以上のようなアプローチをはじめとする大きなトレンドを、アクセンチュアでは「リビングサービス」と呼んでいます。リアルタイム・アナリティクスによって継続的に顧客について学習し、顧客と長期的かつ意味のある関係を構築していくことによって、保険会社は顧客が何に喜びを見いだすかを理解できるようになります。また、顧客の時間的/金銭的制約を含む暮らしぶり、現在の幸福度/健康度/フィットネス・レベル、休暇を共に過ごす相手といったことも分かります。保険会社はリビングサービスを活用することで、天候や顧客のロケーション、気分、健康度、銀行の残高といった情報をもとに、適切なオプションを選び、パーソナライズされた提案を行うことができます。最適にデザインされたリビングサービスは、顧客の暮らしを拡充し、日常に驚きや喜び、意外性をもたらして、これまでにない付加価値的な関係を構築するチャンスを保険会社に提示するでしょう。リビングサービスの提供に関するさらなる詳細は、アクセンチュアのポイント・オブ・ビュー・シリーズ「The Connected Insurer」をご覧ください。

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