新たな顧客エンゲージメントの必要性

 競争環境の激化を前にしてもなお、保険会社の多くはパーソナライズされた体験がもたらす新たな機会を顧みていないようです。事実、保険以外の商品/サービスの提供を計画している保険会社は全体の3分の2未満(61%)6で、さらに以下のようなパーソナルなデジタル/モバイル・サービスをリアルタイムで提供している保険会社となると、全体のわずか22%7にとどまっています。

  • 顧客のニーズやすでに所有している商品に基づくオファー
  • 保険会社との関係や過去のインタラクションに基づいて作成され、顧客が自分との関連性を感じ取ることができるメッセージ
  • 顧客の行動様式や補償対象物の利用状況、リスク防止策を反映した保険料
  • リスク防止やロス軽減に向けた提案やインセンティブ

 保険会社の多くは、顧客とのインタラクション頻度の低さに課題を感じています。また、商品依存型の企業文化、組織構造、昔ながらの管理体制/手法、時代遅れのテクノロジーといったさまざまな障壁も抱えています。顧客に関する深い知識を持ち、そこから新たなインサイトを引き出している保険会社でさえ、それらのインサイトを効果的に活用できているとは言えません。保険会社が顧客に真の喜びをもたらし、価値あるアドバイザーとなるには、これから長い道のりが待ち受けています。

 顧客に真の喜びをもたらしたいのであれば、保険会社は顧客とのトランザクションを重視する顧客エンゲージメントから、関係性を重視する顧客エンゲージメントへの転換を図らなければなりません。保険商品の提供や保険料請求、保険金請求処理、保険金支払い、契約更新といったプロセス主体のインタラクションだけではなく、新たな領域にも目を向ける必要があります。顧客が望むライフスタイルの実現に向けて、顧客の「パートナー」として何ができるか? 顧客のリスク回避を支援し、リスク発生時により迅速に応えるために何ができるか? 顧客の財務設計の健全性を高めるために、どのようなアドバイスができるか? 保険会社は、これらの課題についてより深く追求していかなければならないのです。

出典

  • 6 Accenture Digital Innovation Survey 2014
  • 7 Accenture Distribution and Agency Management Survey 2015