従来型の電力・ガス会社社員への
バリュープロポジション

出典:アクセンチュア

 新たに必要となるスキルを備えた人材を惹きこむために、電力・ガス会社が変えなければいけないことがもうひとつあります。それは社員に対するバリュープロポジション(会社で働くことの動機づけ)です。新卒学生の69%が給与より労働環境を重視しているということを踏まえると、電力・ガス会社が強みとしてきた安定性、終身雇用、高給という動機づけは、必ずしも現在の就職市場7にはそぐわなくなってきています。

 さらに、従来型の安定した高給をアピールするやり方はコスト面でも問題です。高い人件費が固定費用として重石となり、必要な風土改革に投資する余裕がなくなってしまいます。

 電力・ガス会社がビジネスモデルを移行する際には、変革の初期段階から社員に対するバリュープロポジションの変革に取り組むことが必須です。 最悪のシナリオは、社員に対するバリュープロポジションの変革をおざなりにした結果、時間と費用をかけてようやく採用したデジタル志向の人材が、入社早々、仕事の仕方や価値観に幻滅し、会社を早々に去ってしまうことです。

 デジタル志向の人材の心をとらえるためには、電力・ガス会社は、どこで、どのように仕事をするかに柔軟性を持たせ、多様性を尊重し、協調型のネットワークを可能にする労働環境を醸成する必要があります。次世代の従業員はフラットでチームベースの仕事を好み、自身の成長機会を求め、イノベーションが報われる機会を求めています。

 新たな社員に対するバリュープロポジションは、部分的に、現在の社員に対するバリュープロポジションと正反対になる可能性があります。高業績をあげている現在の社員を遠ざけることなく、新しい人材を惹きつける、バランスのとれたアプローチを見つけるには、経営層と人材部門がよく考えて協調することが必要です。

出典

7 “Are you the weakest link? Strengthening your talent supply chain”, Accenture Strategy, 2015.