新しいビジネスモデル:
新しいスキル+新しい調達手法

 市場主導でデジタルを原動力とするビジネスモデルが必要とする従業員は、人数としては少なくなり、雇用体系も必要なスキル要件も異なってきます(4ページ参照)。テクノロジーによって、ルーチンワーク、危険業務、遠隔業務が自動化あるいは効率化されると、現場作業や、設備運転に必要な人数は少なくなります。鉱業・資源会社のRio Tinto社では、オペレーションセンターを創設したことが、人と機械の力を組み合わせ直した業務プロセスを推進するのに役立ちました。オペレーションセンターとはその名の通りの施設で、そこには司令センターで座ったまま機器を操作する人がいて、何百マイル、あるいは何千マイル離れたところにある鉱山で採鉱にあたる大型機械や機器の運転管理を行っています3。電力・ガス会社も新たな電力設備に対して同様のアプローチをとることができます。特に、太陽光や風力、波力といった遠隔地の低炭素エネルギーを活用する分散型ソリューション投資を考えているのであれば、こうした遠隔から機械・設備を運転監視するオペレーションセンターが有効になるでしょう。

 新たなビジネスモデルが必要とする人材のスキル要件は変化します。今日の電力・ガス会社のマネジャーは予算や要員の調整、管理にかなりの時間を割いていますが4、将来はデータの評価、イノベーションの奨励、組織の競合優位性を高める意思決定の推進が中心的な役割になります。多くの電力・ガス会社は、今後必要とされるアナリティクスおよびコラボレーションのスキルを備えていないでしょう。実際に最近のデータでは、「情報の分析・共有」を日常業務の上位5位に含めているマネジャーは、他業種で45%であるのに対し、電力・ガス会社ではわずか37%でした5

出典:アクセンチュア

 適切なスキル要件を備えた人材は、現在の電力・ガス会社の人材戦略、採用戦略の延長線上では見つからないでしょう。2015年、アクセンチュア・ストラテジーが2015年に大学を卒業する学生に「働きたい会社あるいは業種はどこですか?」と質問したところ、英国の回答者の中で電力・ガス会社を挙げたのは2%のみ、米国ではわずか1%でした6 。電力・ガス会社は求める人材の採用方法を考え直す必要があります。専従の従業員ではなく、ビジネスニーズに応じて柔軟に活用できる広義の従業員に視点を移さなければなりません。新卒採用は引き続き重要ですが、それだけではもはや十分ではありません。スタートアップ企業や異業種とのパートナーシップを通して専門のスキルを調達することも必要でしょう。設備診断を専門とするGrid One SolutionsやサイバーセキュリティのIronNetのように「サービスとしての」ベンダーを活用すれば、これまでとは異なる方法でスキルを持った人材にアクセスすることが可能となります。

出典

3 ”Recombination at Rio Tinto: Mining at the push of a button,” by Robert J. Thomas, Alex Kass and Ladan Davarzani, Accenture, 2014.

4 Accenture Institute for High Performance and Accenture Strategy, “The Impact of Cognitive Computing on Management” study, 2015.

5 Accenture Institute for High Performance and Accenture Strategy, “The Impact of Cognitive Computing on Management” study, 2015.

6 Are You the Weakest Link? Strengthening Your Talent Supply Chain,” Accenture Strategy, 2015 and “Will today’s graduates want to work for you? Reshaping your talent supply chain to drive growth,” studies, Accenture Strategy, 2015.