コネクティビティの有効活用(1)

 自動車メーカーがコネクテッド・ビークル市場でシェアを拡大するためには、やはり大きな投資を行わなければなりません。では、コネクティビティの価値はいかにして、どこで、生み出すことができるのでしょうか?

 潜在的な価値は目の前にあります。アクセンチュアでは、コネクテッド・ビークルの市場規模は2020年には1,000億ユーロに、2025年には5,000億ユーロに達すると推定しています。さらに1台当たりの生涯価値で見てみると、本格的なコネクテッド・ビークルが日常的に頻繁に利用された場合、一般車の生涯価値は5,000ユーロ以上上回ると考えられます(図3参照)。この潜在価値をいかにして生かすかを見極めなければ、自動車メーカーは新たなエコシステムを支配することはできないでしょう。

 まず手始めに、価値の創出源がどこにあるかを見極め、それぞれの評価を行うことが大切です。

出所:アクセンチュア

■ハードウェア

 ヘッドユニットはハードウェア市場で将来を有望視されており、自動車のコネクティビティにもなくてはならないツールですが、現在は価格の高さがネックとなっています。しかし、携帯デバイス・メーカーの競争を背景に価格の見直しは不可避となっており、いずれは低価格化が進むでしょう。いまのところメーカーは高価格を正当化するために、ヘッドユニットにさまざまな機能を持たせるという戦略を用いています。とはいえスマートな携帯デバイスの登場によって、ヘッドユニットは車内で携帯デバイスのコンテンツを表示するため「ディスプレイ」化しつつあり、この戦略はいずれ通用しなくなるでしょう。

 こうした事情を踏まえると、自動車メーカーとしては段階的にヘッドユニットの価格を引き下げていくことで、コネクティビティ機能をユーザーが利用しやすくするのが得策だと考えられます。この戦略では、ヘッドユニットそのものの価値は徐々に縮小されますが、代わりに別の価値創出源を生かせるようになります。

■サービス利用料

 自動車メーカーが既存のサービスの拡充を推し進め、顧客がそれらのサービスを積極的に利用することで、メーカーの収益は著しく拡大しつつあります。これらのサービスの購入は現在、小売店などの仲介業者を通さない、メーカーと顧客との直接的な契約関係で成り立っています。したがってメーカーは今後、顧客のサービス利用行動や直接契約からさまざまなインサイトを引き出し、それらをマーケティングに活用することで収益を得ることができるでしょう。

■第三者へのデータ提供

 自動車のコネクティビティが一般化するにつれて、まったく新しいビジネスモデルと収益源が生まれると考えられます。自動車メーカーにとっては、ビジネス・パートナーへの顧客データの有料提供が特に大きな収益源となるでしょう。たとえば、ドライバーの運転特性に応じて保険料を設定する保険会社では、自動車および自動車メーカーのテレマティクス・プラットフォームのデータに継続的にアクセスすることで、保険加入者の運転行動に基づいた保険契約と保険料算定が行えます。