カスタマーエクスペリエンスを再定義する(1)

 顧客をつなぎ留め、売上げを左右するエクスペリエンスを損なわないようにするために、企業は3つの点に留意する必要があります。

(1)転換点を明らかにする

 アクセンチュア・インタラクティブが委託を受けた最近の研究によると、企業においてデジタルエクスペリエンス設計に関わっている部門の責任者の56%は、一連のカスタマーエクスペリエンスのなかでデジタルがどのようなインパクトを与えているのかを今後は考慮する必要があると答えています8。これは良い兆候です。しかし、最初のステップにすぎません。企業はデジタルから得られる価値と、離れていってしまう顧客を取り戻すのに関わるコストを比較する必要があります。

 転換点は各企業で異なっていますが、共通の手法で評価できます。顧客のロイヤルティ、企業に対する親近感、および支持度合のトレンドは、現在および今後予測される顧客との関係の健全性を示す優れた指標です。そして、アクセンチュア・デジタル・インテンシティ・インデックスのようなツールを用いることで、顧客のデジタルに対するスタンスを測定することができます(図1参照)。ロイヤルティとデジタル・インテンシティを合わせて測定すると、企業は、自らのデジタル投資は顧客が満足するエクスペリエンスを生み出しているのか、今後はどこに重点を置くべきなのかを理解するのに役立ちます。

出所:アクセンチュア

(2)顧客との関係構築を再考する

 顧客が興味を持つ、差別化されたエクスペリエンスを提供することができるようになる前に、企業は現在の消費者中心主義を理解する必要があります。デジタルによって、これまで直線的だった購入までの道のりは、非常に流動的で、「常時」買い物を体験している状態に取って代わられました。顧客は常に購入の選択肢を評価し、取引を行い、あるいは問題の解決策を探しています。消費者は、自らが置かれた状況を考慮して、自らの意思で、その時々で好ましいチャネルを選択します。この新しい世界においては、特定のチャネルに過度に依存ことは裏目に出ます。必要なのは、顧客の生涯価値(ライフタイムバリュー)を最適化する、デジタルと人によるエクスペリエンスの最適ミックスです。チャネルの境界を越えて俊敏かつ柔軟に顧客との関係を構築する企業は、進化する顧客に遅れをとらずにいられるだけでなく、顧客が望むチャネルを介していち早く顧客を囲い込むことができますし、彼らのチャネル嗜好が変わった際にも柔軟に対処可能です。

出典

8 “Digital Transformation in the Age of the Customer,” (a commissioned study conducted by Forrester Consulting on behalf of Accenture Interactive), October 2015