転換点―デジタル関連の支出がベネフィットを上回る

 デジタルインタラクションに過度に依存している企業は、顧客リーチを広げることには成功しているかもしれませんが、顧客が望むパーソナライゼーションができていないために、企業にとって重要な顧客を遠ざけ、アップセルやクロスセルを行う機会を逃しています。皮肉なことに、デジタルによる効率化で削減できたコストは、顧客を取り戻すためにやらざるをえないプロモーションや値引きによって、急速に相殺されていっています。

 実際、多くの企業では、デジタル関連の支出がデジタルによって得られたベネフィットを上回る転換点に近づいています。デジタルおよび非デジタルチャネルを通じたエクスペリエンスをいかにバランスよく提供するかをデザインできなければ、企業は莫大な投資を強いられることになります。アクセンチュアは、マルチチャネルを通して企業と関わりを持つことができる顧客の方が企業にとってより貴重であることを見出しました。

・小売りセクターでは、マルチチャネルを利用する顧客は店舗のみの顧客に比べて売上げで3.2倍、利益で2.6倍の貢献をしている4

・金融セクターでは、マルチチャネルを利用する顧客はデジタルのみ利用する顧客に比べて1.4倍の商品を購入し、購入先を他者に推薦する確率も15%高い5

・デジタルチャネルより人が介在したチャネルの方が高額商品を勧めて販売につなげられる確率が2倍以上高い(45%対18%)6

 デジタルを使って顧客接点を多様化できることのメリットを考える前に、企業はすべての顧客に対して画一的にアプローチしても望んだ成果が得られないことを理解する必要があります。その代わりに必要とされているのは、個々の顧客が求めるエクスペリエンスをいつでも享受できるよう、デジタルおよびノンデジタルを最適に組み合わせて提供する能力です。

出典

4 Accenture Customer Vision 2015

5 同上

6 Accenture Global Consumer Pulse Research, 2015