度がすぎるとうんざりする?

 デジタルによって、企業は顧客に対してさまざまなメッセージやプロモーションを容易に流し続けることができるようになりました。おそらく、容易すぎたのです。このようなデジタルによる強い結びつきを好む顧客は大勢います。しかし一方で、かなりの顧客は、何らかの選択を迫られるその選択肢の多さに圧倒されて、お手上げ状態になってしまいます。そのような人たちにとっては、デジタルインタラクションは煩わしく、結果として自社にとっての売上機会を逸しています。

 また、数多くのプロバイダーが顧客をデジタルプロモーション攻めにしたら、顧客は受け取ったメッセージを特別だとも、独創的だとも思わないでしょう。顧客は企業が自分たちそれぞれに最適化されたショッピング体験を提供してくれるためにデジタルを活用しているのではなく、むしろどこで買っても同じ、陳腐化されたメッセージを運ぶためにデジタルを使っていると思いかねない状況です。顧客にとっては、企業は顧客の好みに合わせてエクスペリエンスをつくり出すためではなく、ただ商品を陳腐化するためにデジタルを用いているように見えます。

 企業は、顧客のエクスペリエンスが最終的な購入決定にどのような影響を及ぼすかを理解しておく必要がありますが、そのなかでデジタルがどのような効果をもたらしてくれるのかについても理解する必要があります。消費者は目の前に差し出された提案が自分にとって重要かどうかを決める際に3つの要素を評価します。それは、製品・サービスそのもの、それが提供される場、エクスペリエンスです。

 これら3つのうち、ロイヤルティに最も大きな影響を及ぼすのがエクスペリエンスです。多くの顧客はデジタルを介した企業とのインタラクションの利便性を歓迎しています。さらには、実店舗に出向く煩わしさを避けるため、デジタルのみのエクスペリエンスにさらに多くのお金を支払ってもいいという人も存在します。しかし、かなりの数の顧客(36%)は、店頭においてよりパーソナライズされたエクスペリエンスが提供されるのであれば、喜んでさらに多くを支払うと言っています3

 たとえば、高価なカクテルドレスを検討中のファッショニスタは実物を自分の目で見て、試着して、詳細について質問をしたいと思うでしょう。さらには、お客様によってはその場で交渉し、その人に限定の値引きを受けることができるかもしれません。人間が介在するからこそ提供できるサービスやエクスペリエンスを、それに対価を払ってもいいと思っている顧客に提供することをおろそかにするのは、重大な収益創出機会を無視していることになります。

出典

3 Accenture Global Consumer Pulse Research, 2015