●適切なリーダーシップを構築し、適応能力のある組織をつくる

 最後に、ソフトウェア思考に移行するうえで決定的に重要となるのは、マネジメント体制をどうするかである。工業化時代の企業は、プロセスとルーチンに重点を置くことで規模を管理していたが、その組織構造はもはや機能しない。ソフトウェア主導の世界における価値創造のメカニズム――ノウハウ、イノベーション、適応――を反映するように組織を再設計しなければならないのだ。そこで最も問われるのは、デジタル変革を促進できるリーダーシップ体制である。

 デジタルの先駆者であるゼネラル・エレクトリック(GE)は、みずからを積極的に変革し続けている。ソフトウェア思考を取り入れた同社が目指すのは、プラットフォーム企業とアプリケーション企業の両方になることだ。その新たなビジョンに沿った創造的な組織モデルは、各事業部でのデジタルイノベーション推進と、全社的な規模のメリットを両立するものである。

 全社レベルでの最高デジタル責任者(CDO)が新設され、この人物がGEデジタルという新部門も統括する。CDOの役目は、ソフトウェアの新たなケイパビリティを全社規模で構築すること、そして事業ごとの専門知識を活用するために各部門と連携することだ。デジタルイノベーションと協働を促進すべく、各事業部にもCDOを置き、本部CDOと事業部CEOの直属としている。

 GEのCEOジェフ・イメルトは、世のCEOたちに次のようなアドバイスを送っている。「デジタル化は、企業が取り組むべき最重要課題であり続けるでしょう――少なくともこの時代を通してずっと。その可能性を諦めるならば危険を覚悟することです」(マッキンゼー・アンド・カンパニーによるインタビュー)。

 ソフトウェアによって何を新たに創造できるかが、真の好機と脅威の分かれ目となる。デジタル化に成功するために、経営者は自社をソフトウェア企業と見なすことが必須なのだ。


HBR.ORG原文:You Don’t Have to Be a Software Company to Think Like One April 20, 2016

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ビジェイ・ガーバクサニ(Vijay Gurbaxani)
カリフォルニア大学アーバイン校ポール・メラージ・スクール・オブ・ビジネスのタコベル寄付講座教授。ビジネス&コンピュータサイエンスを担当。同校のデジタルトランスフォーメーション・センター(CDT)の創設ディレクター。