後れずについていくべき相手をライバル企業から顧客へと改めることは、思考様式と業務手法の大きな変更を伴う。

 そこで、まずは自社の現状について自問することをお勧めしたい。

●自社の変革は、顧客自身のそれに比べてどの程度進んでいるか。顧客の変化はどの部分で自社より速い、または遅いだろうか。

●顧客の要望を決定づけているのは誰か。その影響力はおそらく、自社の業界の外から及んでいる可能性が高い。

●顧客とどんな関係を持ちたいのか。自社の望むことをしてもらおうと努めていないだろうか。それとも、顧客の望みを助ける方法を模索しているのか。

 次に、注力すべき部分を考えよう。

●どのトレードオフを乗り越える必要があるのか。先述の例はごく一部であり、他にも「スピードと規模」「一貫性と機敏性」「ハイテクとハイタッチ(人間的なふれあい)」などがある。

●直線思考が邪魔をしている部分はどこだろうか。先に列記した業務手法を振り返り、顧客の体験に最も影響するのはどれかを考えよう。

 持続的な競争優位を築く方法は、ますます見つけにくくなっている。あらゆるタッチポイントに対応する、顧客主導型のカスタマージャーニーを設計すること。それによって(自社ではなく)顧客の目的達成を支援し、より多元的な関係を築くこと。これこそが新たなゲームだ。

 そして、このゲームで勝ち抜くには、ライバルと張り合うことに専念するのをやめ、顧客と併走できるように思考を改めることが必要である。


HBR.ORG原文:Focus on Keeping Up with Your Customers, Not Your Competitors April 28, 2016

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マーク・ボンチェク(Mark Bonchek)
シフト・シンキングの創設者兼最高洞察責任者(Chief Epiphany Officer)。デジタル時代を生き抜くための思考変革を支援する。

 

ジーン・コーンフィールド(Gene Cornfield)
アクセンチュア・インタラクティブのマネージングディレクター。グローバル企業の顧客体験、組織、業務成果の変革を支援する。