CHREATEは仕事の将来像を、「仕事の民主化」(先述した根本要因1~3による影響)と、「テクノロジーによる強化」(根本要因3~5の影響)の度合いに基づいて、以下のマップにまとめた(英語報告書)。

 4つの領域ではそれぞれ、戦略、人材、働き方へのアプローチが異なる。

 ●従来型

 労働形態とテクノロジーの活用度は、今日と同様だ。通常のフルタイム雇用に大きく依存している。従業員は同一の場所に配置され、業務と働き手へのアクセスは物理的なつながりを通じてなされる。

 このタイプの例としては、特定の時間と場所での従事が必要な仕事や、働き手をクラウドで従事させると非常に高くつく、あるいは違法となるような仕事がある。末期患者のケアや、さまざまな現場(保安を要する施設、無菌室、石油掘削場、小売現場等)での技術職などだ。

 また、政治上、規制上、あるいは社会上の規範によって現状の働き方を余儀なくされる場合もある。この領域に適しているのは、業務内容が安定的で、従来型の報酬と業績評価の制度でうまく機能する仕事である。

 ●従来型だが高度化

 マネジメントと雇用形態はそれほど進化していないが、テクノロジーの活用は進化している。仕事上の人的つながりは従来と同じだが、より速く有能で安価なテクノロジーとシステムによって支えられる(パーソナル機器や、クラウドベースの人材情報など)。

 コールセンターがその好例で、従業員の雇用形態は同じだが、遠隔地や在宅での勤務が可能だ(ジェットブルー航空は10年以上前から在宅オペレーターを導入)。また、がん専門医が研究でIBMワトソンの助けを借りている例なども、ここに該当する。

 現在の人材管理用のテクノロジー製品は、多くがこの領域に主眼を当てたものだ。従来の雇用システムや仕事上の人的つながりを自動で管理し、その手段として各種機器やクラウドベースの学習、スマートフォンのアプリ、遠隔での業務監視などを用いている。

 ●進化型

 ここは新たな雇用モデルが生まれる領域だ。プラットフォーム、プロジェクトベース、単発契約、フリーランス、コンテスト、請負契約、期間契約、パートタイムなどが含まれる。ただし、テクノロジーの進化はおおむね緩やかだ。今日、このシナリオに該当する例として、UpWork(アップワーク)、Tongal(トンガル)、Gigwalk(ギグウォーク)といったフリーランスのプラットフォームがある。

 また、社内における雇用システムそのものの改革も、ここに含まれる。たとえば雇用計画に、フリーランスや請負契約、パートタイムなどを新たに導入すること。既存のソーシャルツールを利用して「消極的な求職者」とつながりを保っておくことで、従来の採用システムを補強すること。既存のソーシャルメディアのプラットフォームを用いて、イノベーション・コンテストを主催することも含まれる。

 ●ウーバー的進化型

 技術進歩の加速と労働形態の民主化は、互いを促進し合う。働き方とテクノロジーの新たなモデルを支えるのは、オンデマンドでの人工知能の活用、超高度のパーソナライゼーション、安全かつアクセスしやすいクラウドベースのプラットフォームなどである。

 このようなプラットフォームは、単一の雇用主を超えて存在し、仕事と働き手を共通言語の下にマッチングさせる場となる。ここに含まれる情報には、働き手の能力と資格、企業側の仕事の要件、絶えず更新される職務履歴、知識・学習のリソース、報酬制度などがある。

 IBMが導入している「オープン人材マーケットプレイス」の例を挙げよう。ここではマネジャーは、仕事を短いサイクルの業務に細分化し、それらをプラットフォームに参加する組織内外の人々に告知する。人材を募集して、仕事を遂行するためのコミュニティを形成できるわけだ。参加者の職務履歴と能力は追跡・記録されるが、これは仕事における言語が共有されているおかげだ。共通言語はワトソンに似た人工知能と人間の判断の組み合わせによって、進化を続ける。

 以上の4つの領域は少なくとも今後10年間、仕事のエコシステムを形成するだろう。この間に企業は、仕事のあり方を変える先述の「5つの根本要因」の強さ、タイミング、影響に応じて、居場所を変えていくことになる。

 このマップを自社全体に当てはめて、自問してみるのも1つの方法だ。もっとふさわしい領域はあるか、右上の領域への移行を目指すべきか、というように。

 しかし、1つの企業には複数の異なるタイプの仕事があり、それぞれが別々の領域に適している場合のほうが多いだろう。たとえば製造は「従来型」、流通は「従来型だが高度化」が最適かもしれない。専門職スタッフとソフトウェア開発は「進化型」、そして高度の創造性と発明力を伴う仕事は「ウーバー的進化型」がよいかもしれない。組織を分解して考えてみるのが、パターンを明らかにするうえで最も確実な方法だろう。