日本企業でランクインしているのは、ファーストリテイリング、ダイキン工業、アステラス製薬、コマツ、アサヒグループホールディングス、キリンホールディングス、ブリヂストン、デンソー、トヨタ自動車、本田技研工業の10社。世界2位である。

 1位は米国で、41社。米国に大きく引き離されている現状で、本書で分析した考え方を使って、日本企業に跳躍してもらいたい、と著者は言う。

 2つの特性で言えば、日本企業は静的な「堅牢さ」のほうは相当な強みがあるが、動的な「身軽さ」に弱みがある。そこで筆者は、日本企業は、自らの強みを意識しながら、それを「ずらして伸化していくべきだ」と提唱する。この「ずらして」というのがミソで、詳細は本書を参照して頂きたい。

 100社の中から、参考にすべき企業を選択し、応用できる要素を抽出しているので、読者はそれを自らの経営や業務に生かせるだろう。

経営学の新しい流れをざっくり学べる

 このように、本書には実践的な示唆が豊富である。と同時に、個々の企業の強みを分析する際に、最近のマネジメント理論やコンセプトを活用しているので、読み進めていくと、経営学の新しい流れをざっくり学ぶことができる。例えば、CSV、レジリエント・カンパニー、クリエイティブ・ルーティン、リバース・イノベーション、オープン・イノベーション等々である。

 そして、「あとがき」がまた面白い。著者が長く勤務したマッキンゼーの限界と自分自身の懺悔に始まり、『エクセレント・カンパニー』や『ビジナリ―・カンパニー』など著者の先達たちの名著を、事実を基に痛烈に批判するのだ。

 以上の内容に共通するのは、著者の理詰めである。定説をきちんと押さえた上で、論理的にその弱点を批評し、理論を再構築している。当然、著者の唱える法則も、他の経営学者や実務家、コンサルタントから批評されていくことだろう。論じるに値する、刺激的な提言が多い書なのである。