「マインドフルな意識」とは、集中と感知という2つのスキルによってもたらされるものだ。より詳しく言うと、「集中(focus)」とはいま自分がしていることに専念する能力であり、「感知(awareness)」とは自分の意識の状態を認識し、気を散らす物事を捨て去る能力である。

 マインドフルネスはただ座って行うだけの行為ではなく、「意識を鋭敏・明晰にすること」と心得てほしい。そしてマインドフルネスを行動のなかで行うことは、マルチタスクという実現不可能な行為よりもはるかに有益となる。

「マインドフルに働く」というのは、オフィスに着いた瞬間から、自分が行うすべてのことに集中と感知を用いることだ。目前の作業に集中し、自分の内外に生じる邪魔・雑念を感知して捨てる。それによってパフォーマンスが高まり、ミスが減り、創造性さえ高まるのだ。

 集中と感知の力をよりよく理解するために、ほぼ誰もが直面している悩みの種について考えてみよう。それはメール依存である。メールには、私たちの注意を引きつけて優先順位が低い作業へと向けさせる作用がある。簡単にできる小さな作業を片付けると、脳内に快楽ホルモンのドーパミンが分泌されるからだ。これがメール依存を助長し、集中を妨げる。

 したがって、メールの受信箱を開く時はマインドフルネスを用いるようにしよう。重要なものだけに「集中」し、ノイズにすぎないものを「感知」するのだ。1日をうまく始めるには、メールチェックを朝一番の作業にはしないことだ。そうすれば、集中力と創造性がとりわけ高い時間帯に、気を散らす物事や些細な問題の殺到を避けることができる。

 やがて1日が進み、お決まりの相次ぐ会議の時間帯が始まったら、話し合いをより短く効果的にするうえでマインドフルネスが役立つ。上の空の状態で会議に入ることを避けるために、2分間だけマインドフルネスのエクササイズ(先述した呼吸への集中)をしよう。これは会議の場所へと歩きながらでもできる。

 さらによい方法として、会議の最初の2分間、沈黙のなか全員でこのマインドフルネスを実践すれば、皆が心身共に準備を整えることができる。そしてもし可能であれば、予定時刻の5分前に会議を終わらせたい。参加者が次の会議に向けてマインドフルな状態で移れるようにするためだ。

 1日の時間が経つうちに脳が疲れ始めたら、マインドフルネスによって、意識をクリアに保ち判断の誤りを避けることができる。ランチの後は、携帯電話のアラームを1時間おきに設定しよう。アラームが鳴ったらその時やっていたことを中断し、1分間マインドフルネスのエクササイズをする。これによって、自動操縦状態(惰性)やアクション依存(先述のメール処理作業など)に陥るのを防ぐことができる。

 最後に、1日が終わり自宅への帰途につく時に、マインドフルネスを行おう。通勤時間中の少なくとも10分間は電話の電源を切り、ラジオも消して(車通勤の場合)、マインドフルな状態に身を置く。浮かんでくるすべての考えを無視して、自分の呼吸に意識を集中するのだ。このエクササイズによって、1日のストレスから解放され、帰宅後に家族との時間を満喫できるようになる。

 マインドフルネスは、人生をスローモーションのように生きることではない。その目的は、仕事と私生活の両面で集中と感知を高めることにある。気を散らす物事を捨て去り、個人と組織の目標に専念するということだ。自分のマインドフルネスをコントロールしよう。上述の方法をまずは2週間試し、効果を見極めてほしい。


HBR.ORG原文:How to Practice Mindfulness Throughout Your Work Day March 04, 2016

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ラスムス・フーガード(Rasmus Hougaard)
ポテンシャル・プロジェクトの創設者兼マネージングディレクター。20に及ぶ国々で企業向けにマインドフルネスのソリューションを提供する。共著にOne Second Ahead: Enhancing Performance at Work with Mindfulnessがある。

ジャクリーン・カーター(Jacqueline Carter)
ポテンシャル・プロジェクトのパートナー。ソニー、アメリカン・エキスプレス、カナダロイヤル銀行、KPMGをはじめ世界各地の企業の幹部を支援。共著にOne Second Ahead: Enhancing Performance at Work with Mindfulnessがある。