では、どうすればよいのか。

 我々は、行動経済学を意思決定に適用するためのクラウドソリューションであるCloverpop(クローバーポップ)を開発する過程で、何万人もの意思決定者を対象に数百に及ぶ実験を行った。すると最善の意思決定アプローチは、以降に示す単純なチェックリストに集約されるということがわかった。

 ここで重要なのは、リスト中の項目をただ知るだけでは不十分であり、実行しなければ効果はないということだ。バイアスの存在を自覚するだけでは、消え去りはしないのだから。

 意思決定に際しては毎回、みずからのバイアスに対抗する手段として、以下のステップを踏むとよい。

1.自社の既存の目標や優先事項のうち、その意思決定の影響を受けるものを5つ書き出す。判断の理由を事後にでっち上げて正当化する、という過ちを防ぐには、重要事項への集中が有効だ。

2.現実的な代替案を、少なくとも3つ、できれば4つ以上書き出す。これは多少の労力と創造性を要する作業かもしれないが、「選択の幅を広げること」は意思決定の質を高めるうえで最適の行為である。

3.どんな最重要情報を把握していないか、を書き出す。私たちは自分が知っていることに捕らわれるあまり、未知のことを無視しがちである。これは、情報が溢れる今日のビジネス環境では特に顕著だ。

4.意思決定の1年後の影響を書き出す。想定される結果について、大まかにストーリーを描いてみよう。すると他のシナリオも見えてきて、有益な視点がもたらされる。

5.意思決定に関わるチームの構成は、最低2人から最大6人の利害関係者とする。より多くの視点を介在させることで、みずからのバイアスを小さくし、賛同を得やすくすることができる。だが、グループの人数が多すぎても逆効果になる。

6.決定された事項、その事案がチームに支持された理由、どの程度支持されたか、を書いておく。これらを記録することで、決定へのコミットメントが増し、決定の成果を測定する基準もできる。

7.決定後のフォローアップの機会を1~2ヵ月後に予定する。私たちは往々にして、意思決定が奏功しなかった場合には事後の確認作業を忘れてしまう。つまり、修正と学習の機会を逸しているのだ。

 我々の研究では、上記7つのステップを日常的に実践するマネジャーは、議論の時間を平均10時間節減し、決定までの日数を10日短縮し、決定の成果を20%向上させている。

 意思決定のパフォーマンスを管理するには、新しく、拡張可能なアプローチが必要だ。それは、合理的な選択に関する従来の理論に取って替わるものでなくてはならない。私たちの思考プロセスはしばしば過ちを導く、という事実を踏まえた方法だ。そして、このチェックリストのように、マネジャーとチームの意思決定方法に多大な影響を及ぼすよう設計された、単純で使いやすいツールを活用すべきである。


HBR.ORG原文:A Checklist for Making Faster, Better Decisions March 07, 2016

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エリック・ラーソン(Erik Larson)
クローバーポップの創設者兼CEO。ビジネスパーソンの集団的意思決定を支援するために、行動経済学とコラボレーションを活用したクラウドソリューションであるCloverpopを提供する。