デジタルが製品・サービスの
「脱物質化」を促進

――「CEのビジネスモデルの多くは10の革新的なテクノロジーの活用によって実現される」というくだりもありました。CEの発展とデジタル技術の関係についてはいかがでしょう。

 CEの発展とデジタル技術は密接に関わっています。デジタル技術がCEを引き上げる役割を担うとともに、製品・サービスの脱物質化を可能にしているといえるでしょう。

 例えば、農業では食料が「ファームからフォーク」(農場から食卓)に至るまでの間に、値段がどんどん変わっていきますね。食料のバリューチェーンの中で、それをいかに効率的、効果的に流通させ無駄を省くかという取り組みを、英国の通信会社であるボーダフォンが行っています。

 工業製品では、建設機械のイノベーションがあります。センサーを使うことで、より効率的に職場環境を改善し、エネルギーや天然資源の使用量を下げることができます。

 また、次世代のビデオ解析システムやホログラム、通信システムなどを使って、実際にそこに赴かなくても会議ができるといったような脱物質化も進んでいます。

 まだCEが経済の2割3割を占めているという状況ではありませんが、事業化のペースという点でも対象範囲の拡大という点でも非常に加速しているといえるでしょう。当初、CEへの取り組みは、自動車や建設機械など資本集約型の産業が先行するだろうと予測していましたし、実際にその通りでした。ただ驚くことに、その後CEに取り組む消費財関連企業も多数出てきたのです。

 デジタル技術によってローコストでマーケットプレイス(インターネット上でモノの売り手と買い手が自由に参加できる取引市場)を作ることができるため、参入障壁が低くなったからでしょう。

 その結果、起業家精神を持つベンチャー企業が旧来型のバリューチェーンを破壊しやすくなり、実験的な事業にもチャレンジしやすくなりました。

 そんな新規参入企業の多くは、まず顧客第一主義でイノベーションを起こしています。日本でもパーク24などのカーシェア企業がありますが、最近、シェアリングはアパレル分野にも拡大していて、「エアークローゼット」「メルカリ」などのサービスが人気です。

 エアークローゼットは、まだスタートして1年未満ですが、月額制で1箱約3万円分の服が手元に届くという女性向けオンラインファッションレンタルサービスです。好きなスタイルやお気に入りアイテムを登録すれば、その情報を分析して、自分に合った服を届けてくれます。料金は月額1万円程度。返却された服はクリーニングしてまた別の人に貸し出されます。「服を選ぶ時間がない」人でも気軽にファッションが楽しめるサービスなんですね。

 一方、メルカリは日本最大のフリマアプリで、スマートフォンで商品写真を撮り、気軽に商品を出品できるシステムが特徴です。