避けるべきこと

 ●性格検査をEQ検査の代用としてはならない

 各種の性格検査のほとんどは、その名が示す通り「性格」を測定するためのものである。つまり、EQに関する具体的な能力は測れない。たとえば自己認識力、ポジティブな態度、達成志向、共感力、インスパイア型のリーダーシップなどは判断できない。

 ●自己申告式の診断に頼ってはならない

 これが機能しない理由は2つある。第1に、もし志望者が自己を的確に認識できていない場合、自分のEQをまともに評価できるだろうか。第2に、もし自己認識ができていて、自分に何が欠けているか知っていたら、職を探しているときに本当のことを言うだろうか。

 ●360度フィードバックを用いてはならない

 たとえその評価法が妥当なものであり、ESCI(感情的知性と社会的知性を測るツール)のようにEQが測れるものであるとしても、避けるべきだ。360度フィードバックのようなツールは能力開発に使うべきであって、評価にはふさわしくない。これが評価のために用いられると、回答者が恣意的に選ばれたり、回答方法が事前に根回しされたりする場合さえあり、検査の意味がなくなってしまう。

 すべきこと

 ●推薦者に直接話を聞く

 志望者のEQを理解するためには、推薦状だけでは十分でない。推薦者と実際に話をすれば、志望者がさまざまなEQ能力をどのように示してきたか、具体的かつポイントを突いた質問ができる。なるべく多くの事例と詳細を把握しよう。他者との接し方に関するエピソードは、特に重視して尋ねること。

 ●EQを知るための面接をする

 こう書くと簡単なように見え、すでにやっていると思う人も少なくないだろう。しかし、実際にはできていない場合が多い。相手が曖昧な答え方をしても受け入れてしまい、追加質問をしっかりしていないからだ。志望者にEQや関連する能力について尋ねても、相手は理想化された自己イメージや「こうありたい自分」についてだけ話し、実際の行動がどうなのかは話さないものだ。そしてこの問題を克服するために使えるのが、「行動結果面接」(Behavioral Event Interviewing:BEI)である。

 行動結果面接は、相手の能力について、またその能力が仕事でどう発揮されるかについて知るための強力な手段となる。その方法は以下の通りである。

 まずは面接の場を、志望者ができるだけリラックスして快適でいられるようにしよう。より対話的な、堅苦しくなく暖かい雰囲気の面接にするためだ。そうした雰囲気があれば、本当のことを探りやすくなる。次に、相手の経歴と経験について、一般的な質問を2、3してみよう。

 さて、これで本題の「行動結果」を尋ねる準備が整った。まず、最近仕事で志望者と周囲の人々が、困難な課題に直面して解決を迫られた状況について考えてもらおう。選んでほしい事例は、本人が「主人公」の役割を果たし、最終的に成功を収め誇らしく感じたような状況だ。最初に簡潔な概要説明を促し、その後ストーリー全体を辿ってもらう。その過程で、志望者が何を考え、どのように感じ、どう行動したか、きわめて詳細に尋ねよう。

 次に、不成功に終わった事例を話してもらう。当人が失敗を痛感し、そこから何かを学んだような状況だ。ここでも、まず概要から入ってもらい、なるべく多く詳細を尋ねよう。

 最後に、もう1つ別のポジティブな成功例を話してもらう。これは、面接官と面接体験に対してよい感情を持って帰ってもらうためだ。

 ストレスと困難が伴い、他者が関わる状況において、志望者はどんな考え方をするのか。上記の面接方法によって、それを詳細に聴き取ることができる。そして、そうした状況下で志望者がどう感じていたかについても手がかりがつかめる。少なくとも、相手が自分の感情に自覚的かどうかはわかるだろう。自分の感情にどう対処したか、ひいては他者に対する自分の影響力をどの程度自覚していたか(いずれもEQに関連する)についても聞ける可能性が高い。

 ここで重要な点は、実際に何をしたか、実際にどう振る舞ったかを話してもらうよう万全を期すことである。EQが発揮された証を聞けるのは、まさにその部分なのだ。

 行動結果面接は魔法ではないし、個々のストーリーから十分に詳細を引き出すためには練習が必要だ。1度や2度、話を戻してもらうよう頼んでも構わない。「考えたこと」「感じたこと」「実際に取った行動」、という3つの観点から語ってもらうように誘導しよう。そして、十分に時間をかけることだ。この種の面接は、30分で済むようなものではない。しかし、その時間は無駄にはならない。

 志望者のEQを、詳細な聴き取りを通して実際に「見る」ことができれば、よい人材を選べる。あるいは、不採用を決断できる。いずれにせよ、自分にも組織にも有益となるのだ。


HBR.ORG原文:How to Hire for Emotional Intelligence February 05, 2016

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アニー・マッキー(Annie McKee)
ペンシルバニア大学のシニアフェロー。ペンシルバニア大学教育大学院でチーフ・ラーニング・オフィサー養成プログラムのディレクターも務める。テレオス・リーダーシップ・インスティテュートの創設者。共著にPrimal Leadership(邦訳『EQリーダーシップ』)、Resonant Leadership(邦訳『実践EQ 人と組織を活かす鉄則』)などがある。