岩盤規制を突き破り、先進的な取り組みを推進

――ロボット技術の利活用によって、どのような未来社会が実現しますか。

 センサーで感知し、アクションを起こすロボットがAIと結びつくと、世のなかは激変すると思います。慶應義塾大学SFC研究所と共同で「ME-BYOハウス・ラボプロジェクト」を進めていますが、モデルハウスのなかのさまざまな箇所にセンサーが埋め込まれていて、起きているときも、寝ている間も身体のデータを収集し、蓄積したデータを分析することで、未病の状態を自分でチェックすることが可能になります。未病の段階で病気になるのを防ぎながら、危ないと思った場合は、かかりつけ医に相談し、治していく。

 病院に行くと、レントゲンやMRIの撮影、血液検査などは、すべてロボットが行い、AIを載せた自動問診システムが病状の診断と処方箋の作成をやってくれる。医者は不要なのかというと、決してそうではありません。知識と経験、技術はロボットに置き換えることができても、人間力は不可能です。テクノロジーと人間が今後どう共存していくかが問われてくるでしょう。

――未病産業、ロボット産業の創出にあたって、神奈川県のアドバンテージをどう見ていますか。

 神奈川県には910万人の人口がいます。これはスウェーデンと同じくらい、経済規模はデンマークと同じくらい。つまり一国と同じくらいの規模があります。しかも神奈川県は全県で国家戦略特区を取っています。このなかで一つのモデルをつくることができるのが大きなアドバンテージではないでしょうか。先進的な取り組みをどんどん進めて、一つずつモデルケースを積み上げていく。モデルケースができあがったら、なにも神奈川県に閉じ込めておく必要はなくて、国が使えばいい。我々国家戦略特区は岩盤規制を突き破るドリルとしての役目を期待されているわけですから、どんどん風穴を開けていきたいと考えています。

 具体例を挙げると、いま待機児童が社会問題になっていますが、年1回の保育士試験の実施を年2回に増やすことを我々は国に求め、これを実現しました。2回目の試験の合格者は「地域限定保育士」として、3年間は神奈川県内で働く条件がつきますが、3年後は全国で働くことができます。その後、年2回の試験実施は東京圏、関西圏などに広がっていきました。まさに岩盤規制を突破したモデルケースの一つといえます。

 いまやろうとしているのは、外国人による家事代行サービスです。これも従来は、在留資格が認められずできなかったことですが、国家戦略特区を活用し、試験的に神奈川県全域でスタートさせます。女性の活躍推進などの観点からも家事支援は非常に重要なサービスであり、モデルケースをつくって、全国に広がっていくことを期待しています。

(構成/堀田栄治 撮影/西出裕一)