仮説がなければ
データは活かせない

 実際に「グーグル・Nグラム・ビューワー」を触ってみると、入力した言葉が瞬時に可視化されるので、その様子を見ているだけでも好奇心が満たされる。しかし、単語やフレーズの登場数の変化がわかったところで、それがいかなる価値も生み出していないことも事実だ。

 闇雲に集めたデータを眺めた結果、何らかの知見が生まれることもあるかもしれない。だが、それはあまりに非効率ではないか。調査の目的を明確して、そこに質の高い仮説がなければ、データの収集に費やすコストも、その整理に要する時間も、すべてが無駄になってしまうだろう。

 画期的なテクノロジーが登場するたびに、あたかもそれが万能かのように語られることがある。しかし、いかなる技術も、誰が、どのように使うのかによって、そこから生まれる成果にも雲泥の差がある。機械の背後に優れた人間の存在がなければ、テクノロジーの力を十分に引き出すことなどできない。

 その意味では、筆者らの問題提起とその解決法は、そのどれもが実に興味深いものであった。同時にそれは、データと正しく向き合う重要性を改めて教えてもくれた。

 本書は、ビジネスの現場で日々データと対峙されている方にはもちろん、ふだんはビジネス書と縁遠い方にも強くおススメしたい。