変化の激しい環境で我々が文化の一貫性を保つうえで、きわめて重要なことがある。それは従業員に対して、最適な働き方を後押しするツールを提供することだ。

 たとえば、社内での次なるキャリアチャンスの特定、新たな人材の採用、データ主導のビジネス意思決定、などさまざまなことを助けるツールである。このエンパワーメントの文化は、当社が創業時に礎とした中核的な価値観を守り続けるうえでの一助となっている。

 その主な要素と仕組みを、以下に紹介しよう。

●情報の民主化

 人々の私生活において、どんな情報にも即座にアクセスできることは当たり前となっている。しかし、職場では必ずしもそうではない。データは通常、一部の選ばれた人たちの手で管理されており、そのデータを抽出して有意義に使うためには長く手間のかかる過程を要する。だが、最近の法人向けのテクノロジーとアプリケーションにより、データと情報へのアクセスは現場の前線からもできるようになってきた。

 その実例は、当社の人事組織にも見ることができる。ワークデイのマネジャーは、人員構成や欠員の最新状況について、貴重な時間を割いて人事部に確認する必要がない。これらの情報はすでに彼らの手元にあるからだ。その代わりに両者は、いかにして業績優秀者を次のレベルに引き上げるか、離職の可能性がある従業員を留めるか、ビジネス目標の達成に向けて人々を連携させるか、といった話題に時間を使える。人材の活性化によるビジネス価値の創出に専念できるのだ。

 データへの容易なアクセスは、雇用においても役立っている。急速に成長している企業は人材の採用において、質を犠牲にせず効率よく進めなければならない。ワークデイのマネジャーは、面接結果、履歴書、信用照会に関するあらゆる情報を、どの端末・場所からもワンストップで見ることができる。飛行機に搭乗中でも会議室への移動中でも、採用チームのフィードバックを即座にチェックし、採用候補者を次の段階に進めるか否かをスマホ画面にタッチするだけで決定できる。

 データへの即時のアクセスによって迅速な意思決定ができることは、どの企業にとっても有益だが、候補者にとっても助けになる。履歴書や作品見本を繰り返し求められたり、次の段階に関する知らせを必要以上に長く待たされたりせずに済むからだ。また、優秀人材の獲得競争においては、採用までのスピードが非常に重要である。候補者には最初から、我々の文化の一面、つまり「当社は迅速に動き、あなたの時間を大切にします」ということが伝わるわけだ。

 情報の民主化は、透明性の向上にも寄与している。これはポジティブな文化を維持するうえで欠かせない。たとえば当社では、オンラインのチャットセッションを通して、従業員が幹部に何でも質問できる機会が与えられている。当社のあらゆる活動の核となる、「情報周知」の姿勢を実践するためだ。

●チャンスが開示・提供される文化

 ワークデイは、「チャンスの文化」の創出にも熱心に取り組んでいる。厳格な規則や旧態依然としたキャリアパスは必要とされない。社内での新たなポジションとキャリアチャンスに関して透明性を保ち、それらを従業員が追求できるようツールと情報を提供している。

 たとえば、当社のツールは個々の従業員に対し、当人に適したポジションに関する情報を個別に提示している。これは、過去に同様のポジションを経験した他の従業員たちの、異動や実績に関するデータによって実現している。会社の活力とその変化がリアルタイムで把握できるが、重要な点は、キャリアパスの可能性が従業員中心の視点から示されるということだ。

 個々人はこのツールによって、他者のキャリアパスを見られるだけでなく、当人に連絡を取って接触し、そのキャリア経験について話し合うこともできる。画面をタッチするだけで、自己紹介して面会時間を設定したり、単に質問したりといったことが可能だ。

 ワークデイはまた、顧客の言葉に耳を傾けて学んでいる。たとえばアドビは、従業員に対し頻繁に「パルスサーベイ」(簡易的な意識調査)を行い、経験について迅速なフィードバックを得ている。我々はこれをヒントに、質問のツールを構築した。「あなたのマネジャーは先月、あなたとキャリア目標について話をしましたか?」といった単純な質問に、従業員はあらゆる端末から数秒で回答できる。このツールの目的は、従業員の心理を迅速・簡便に把握することで諸々の取り組みを調整し、文化の強化につなげることだ。

●パフォーマンスの有効化

 これは従来の業績管理プロセスを進化させ、日常的かつ継続的なフィードバックを重視し、従業員中心のアプローチによって人材の活躍を後押しするものだ。エリー・メイをはじめ当社の顧客企業の一部も、この取り組みに熱心であり模範的な例を示している。

 従業員の成果に関するリアルタイムの情報を、定期的に把握・集約できるツールとテクノロジーによって、業績の測定をより効率的かつ効果的に行うことができる。

 一部の企業では、年次の業績考課のプロセスは透明性に欠け、その唐突なやり方が従業員のやる気を削ぐ場合もある。そして年にたった1度や2度しかフィードバックを与えないことも、意欲を減退させる原因になりうる。現在ワークデイではマネジャーに対し、直属の部下の状況確認を定期的に、できれば2週間に1回のペースで行うよう促している。

 要改善点を年に1度指摘するだけでは意味がない。早めに軌道修正すれば、より大きな問題に発展するのを阻止できる。さらに、多くのポジティブな行動についても同じことがいえる。たとえばプロセス改善やイノベーションに関する従業員からの提案は、迅速なフィードバックによって後押しすることが大切だが、従来の環境ではそれがなされにくい。

 マネジャーにとっては、定期的に様子を確認すれば管轄チームのことがより詳しく把握できるだけでなく、彼らが社内の他の部門とどう接しているかが見えるようになる。

 つまるところワークデイが目指すのは、最高のサービスを顧客に提供するために、最高の人材を採用して留めることである。これを実現するためには、従業員の満足度、やりがい、モチベーション、エンゲージメントを高く維持しなければならない。そして、彼らが会社全体の成功に貢献していることを知る必要もある。

 我々の望みは、組織の規模が成長していくなかで学習と適応を続け、従業員の声に耳を傾けていくことだ。その際に、イノベーションにつながる行動とプロセスを後押しするよう設計されたテクノロジーこそが、最も有効な手段となる。そして当社の企業文化を発展させ続ける原動力となるのだ。

HBR.ORG原文:Build a Great Company Culture with Help from Technology February 24, 2016

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アシュリー・ゴールドスミス(Ashley Goldsmith)
ワークデイの最高人事責任者。同社は財務・人事管理の法人向けクラウドアプリケーションを提供するリーディング企業。

リーアン・レベンセーラー(Leighanne Levensaler)
ワークデイの製品担当シニア・バイスプレジデント。共著者ゴールドスミスと共に、同社従業員のエンパワーメントと顧客の成功に取り組んでいる。