離島や山間部に物資を届ける「物流」に大きな期待

――マルチコプターの時代になって、農薬散布や軍事目的以外に、どのような用途が考えられるのでしょうか。

 空撮が一番大きいでしょう。マルチコプターは空中で停止した状態で写真を撮ることができます。低空を飛んで動画を撮ることもできます。もはやテレビや映画で使用されるダイナミックな映像の多くがマルチコプターで撮影されています。驚いたのはカメラマンです。部屋のなかから窓を抜けて、外へ出る動画を撮るなんて、これまでは考えられませんでしたから。

 もう一つは、物流です。2013年12月にアマゾンがプレス発表を行ったのは記憶に新しいところ。倉庫から荷物を持ったドローンが飛び出し、家の前に届ける動画が世界中に配信され、大きな話題となりました。アメリカでは、商用の無人機飛行が原則禁止されているため、現状は実証実験の段階ですが、法改正が進めば、ドローン活用の新たな道が開けることでしょう。

――日本でも数多くの事業者がドローン活用を模索していると思われます。国内の最新動向について伺います。

 やはり、物流で使いたいという方が多いですね。たとえば、ものを届けることが困難な離島に住んでいて、薬を買いに行くにも船に乗らないといけない島民に、ドローンで届けることができれば便利だという切実なニーズがあります。離島だけでなく、山間部もそうです。数年前も、徳島の山間部で大雪のため孤立状態になった集落がありましたが、そうした場合も衛星電話、必要な物資をドローンを使って届けることができないか、ビジネスを検討しているベンチャーも出てきています。

 空撮や物流以外にも、我が国として特に注力しているのがインフラ点検での活用です。高速道路、橋、トンネルなど高度成長期以降に整備したインフラが急速に老朽化しています。その点検にドローンを使えば、人が近づくことのできないところに行って、写真を撮ってくることも可能です。国土交通省などではドローンをはじめ、ロボットがインフラ点検に活用できないか検討を進めています。

――国内のドローン関連企業がグローバルにビジネスを展開していくことも期待されますか。

 ドローン自体は低コストでつくらないといけないので、大企業が参入することは考えにくいでしょう。一方、システムについては今後、高度で汎用性のあるものが要求されるようになり、その構築に国内のITベンダーの活躍が期待されます。

 ドローンも飛行機ですから、交通整理をしないと、空中で衝突することも考えられます。だれが、いつ、どこで飛ばしているのか。複数の機体が飛んでいるときに、どう調整していくのか、国として全体のシステムを整備していく必要があります。もっとも旅客機の航空管制のようなコストがかかるものはできないので、IoTやクラウドコンピューティングを活用したネットワークシステムが構築されることでしょう。

 一方、センサーやカメラ、通信機器、コントローラーなどで、すでに日本製の電子部品が多数使われています。かつてのスマートフォンがそうであったように、フタを開けてみると、日本のパーツばかりということも考えられます。