取締役会で最も大事なことは、その会社の基本理念が常に共有されていることだ。執行側がその基本理念にもとづいて戦略や事業計画を作成し、取締役会が実質的な議論の上で承認、決定していく会社は正しく実績をあげていける。

 議題設定、議事進行で取締役会議長が適切にリーダーシップを発揮する必要があるのは言うまでもない。英国ではCEOと取締役会議長を分離する工夫をしている。米国では社外取締役の中で筆頭取締役を決め、執行との議論が円滑にいくようにしている好事例がある。

 中長期的な戦略を議論するためには、経営・財務情報が的確に、かつ十分に前もって取締役会に対して報告される必要がある。審議時間を確保することは勿論のこと、社外取締役の質問に執行部の担当者が答えるだけでなく、取締役会がチームとして議論を練り上げていくようになるには、相応の経験が必要だろう。

 正しいアジェンダ・セッティングのためには、独立社外取締役から取締役会の議案を募ることも含め、どの議題をどのタイミングで議論するかにも気を配る必要がある。

CEOを指名し、監督・支援する取締役会

 本人(株主)は最適な代理人(経営者)に業務を委任したい。従って、時代環境に即応したトップが適切なプロセスで選ばれているという信頼が必要だ。企業の中枢にいる社長の指名権の透明化に対して、内部の心情的な抵抗感が強いのは日本に限らない。しかし、海外では機関投資家からのプレッシャーや規制により、透明化が進んできた実態がある。社外取締役で構成される指名委員会をつくり、複数の候補者を審議していくことが求められる所以だ。

 海外投資家の中には、多くの日本企業で見られるように、後継社長の選任は社長の専決権限とすること、すなわち社長がだれにも相談せず、続投をしたり、次の社長を決めるやり方で本当にベストの人を選べるのかという疑問が根強い。