リーダーには何ができるか

 これら諸々の作用を総合して考えれば、文化とは企業のオペレーティングシステムであることは明白だ。上級幹部はマネジャーに対し、モチベーションを高めるマネジメント方法を指導すれば、高パフォーマンスの文化を育み維持できる。たとえば、銀行の支店長らを対象にしたある調査では、トータルモチベーションを高めるリーダーシップ研修によって、クレジットカードの売上げが20%、個人向けローンの売上げが47%増加したという。

 CEOがやるべきはまず、文化が商業的に重要である根拠を示し、予算を確保することだ。そして人事部および幹部らと協力し、職務・役割の設計から業績考課の方法に至るまで、文化に影響を与える諸要素を向上させなければならない。

 ただし、プロセスを再構築しなくても、リーダーは次のような方法で従業員のトータルモチベーション向上に着手できる。

1.週に1度、振り返りのミーティングを行う

 我々は企業のチームを支援する際、毎週1時間のミーティングを開いてもらう。各メンバーは、3つの動機に関連する問いに答える。(1)楽しみ:今週は何を学んだか。(2)意義:今週はどんな貢献を果たせたか。(3)可能性:来週は何を学びたいか。

2.業務の根底にある「理由」をしっかり説明する

 ある小売店の幹部はチームに対し、新しいプロジェクトの始動時に「この仕事はリンダ(上司)の要請でやります」という言い方をしていたそうだ。これは感情的圧力による動機付けであり、チームのパフォーマンスに悪影響を及ぼしていた。そこで彼女は、なぜそのプロジェクトが顧客のためになるのかを説明するようにした。

3.チームメンバーの職務・役割について、改めて考える

 楽しみの動機を持つ余地が、全員に与えられているだろうか。部下が自由に実験できる機会を考え、それを明確に伝えよう。たとえば、スターバックスのあるマネジャーは、客との絆を強めるための実験を各スタッフに奨励しているという。ある銀行のマネジャーは従業員に、プロセスの改善案を思いついたら積極的に提案するよう促している。

 さらに、チームには自分たちの仕事のインパクトを実際に見る機会があるかを確認し、より強い意義を持たせるには何ができるかを考えよう。最後に、各メンバーに「2年後にはどうありたいか」という個人的展望を尋ねよう。そして、その可能性の実現を後押しする方法を考えるのだ。

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 優れた企業文化を築くことは容易ではない。だからこそ、高パフォーマンスの文化は強力な競争優位になる。急激な変化、顧客中心、デジタル化――これらを特徴とする今日の世界で求められるものに、優れた文化を持つ企業ならば応えることができる。

 多くの企業が、文化は成り行き任せにしてはならないと気づき始めている。経営者は文化の構築を、魔法ではなく科学として扱わなければならないのだ。


HBR.ORG原文:How Company Culture Shapes Employee Motivation November 25, 2015

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リンジー・マクレガー(Lindsay McGregor)
企業の文化変革を支援するベガファクターのCEO兼共同創業者。共著にPrimed to Perform: How to Build the Highest Performing Cultures Through the Science of Total Motivation(HarperBusiness, 2015)がある。前職はマッキンゼー・アンド・カンパニーのプロジェクトリーダー。

ニール・ドシ(Neel Doshi)
企業の文化変革を支援するベガファクターの共同創業者。共著にPrimed to Perform: How to Build the Highest Performing Cultures Through the Science of Total Motivation(HarperBusiness, 2015)がある。前職はマッキンゼー・アンド・カンパニーのパートナー。