2020年、デジタル特区で実物大ガンダムが歩く

――これからのクリエイティブパワーを担う人材の育成に携わっていますが、ポイントは何ですか。

 創造する“場”をつくることだと思います。いまでは世界中の最先端の講義を無料で受けられるMOOC(Massive Open Online Course、ムーク)のようなサイトも登場しましたので、わざわざ大学に行かなくても知識は得られます。そうなると、大学や教育機関が本当にやらなければならないのは、“場”の提供ではないでしょうか。コミュニケーションによって気づきが生まれる場、想像したり、創造したり、チャンスを得たりする場などです。

――産官学と連携し、さまざまなプロジェクトを手掛けていますが、それも“場”づくりが目的ですか。

 そうですね。現在、一番力を入れているのが竹芝地区にデジタル・コンテンツの特区をつくる構想、CiP(Contents Innovation Program)です。すでに国家戦略特区の認定を受けました。デジタルの実験に関する規制は非常に多岐にわたっているので、特区のなかは電波特区、ロボット特区、ドローン特区などに細かく分かれています。ここに産学連携でスタジオ、インキュベーション・オフィスなどをつくり、研究開発人材の育成の場とします。小規模ながら、シリコンバレーとハリウッドが合わさったような空間にする予定です。

 街開きの予定は2020年のオリンピック開催直前。すでにさまざまなプロジェクトが走り出しています。たとえば、総務省は街中に防災や多言語サイネージ(電子看板)を取りつける実験を行う予定です。津波のような緊急事態が起きれば、すべてのサイネージに「避難しさない」と表示されます。それが伝達手段としてどのくらい有効か実験しようというわけです。

――「超人スポーツ大会」も竹芝の特区で開催されるのですか。

 東京オリンピック・パラリンピックに合わせて、超人スポーツの国際大会を開催したいと考えています。超人スポーツは、機械などを身体に装着することで、子どもや高齢者でも、たとえばオリンピック選手より速く走れるといったパワーが手に入ります。そのうえで競い合うスポーツ大会です。

 開催するには、新しいスポーツを考案したり、ルールを決めたり、選手を養成したりするところから始めなくてはいけません。そこで、準備のために昨年、協会を立ち上げたのですが、予想以上の反響でした。科学者、スポーツ選手、デザイナー、SF作家など、さまざまな専門家が参加を表明してくれました。

 日本らしいのが、参加者全員が、「超人」という言葉に対して何がしかのアニメや漫画のキャラクターをイメージしていたことでした。「キン肉マン」「サイボー009」「攻殻機動隊」「ドラゴンボールのかめはめ波」などが代表ですが、好き嫌いは別として、どの人も大半のキャラクターを知っているので、「○○マンみたいな」のひと言で、どんな超人をイメージしているのか共有できるので、話が早いわけです。

 実は、実物大のガンダムを歩かせようという構想が進んでいます。実際に人が操縦席に座って動かしてみたい。しかし法律上は、ガンダムは重機に当たり、方向指示器をつけなくてはならないそうです。それではあまりにもせつないので、ロボット特区をつくって自由に歩かせてあげようと考えています。未来は、お台場から飛ばそうとも考えているのですが、あまりに膨大な規制があるので悩ましいです。

(構成/竹内三保子 撮影/宇佐見利明)