文化にはどんな価値があるのか
企業文化がビジネスに有益である根拠を示すことは、不可能ではない。従業員の創造性や積極性、逆境から立ち直る力などは測定しにくいものだが、トータルモチベーションを算出することは実際には難しくない。各動機に関する合計6つの質問への答えを、簡単な計算式に当てはめれば、組織のToMoを測定でき、それがパフォーマンスに与える影響を確認できる。
航空業界の例を見てみよう。航空会社は同じターミナル、同種の旅客機を使っていても、顧客満足度は会社によって大きく異なる。我々は、大手航空4社の従業員のトータルモチベーションを測定し、結果を各社の企業文化の基準とした。そして顧客満足度(ミシガン大学が開発した米顧客満足度指数〈ACSI〉に基づく)と文化を比較検証したところ、両者には密接な関わりがあることがわかった。
楽しみ、意義、可能性を促進しながら、感情的・経済的圧力と惰性を抑制する企業文化は、顧客満足度を高めるのだ。この現象は、小売、銀行、通信、ファストフードの業界でも見られた。
その影響が及ぶのは顧客満足度に留まらない。あるヘッジファンド会社では、最も成績優秀なファンドマネジャーたちはトータルモチベーションが高かった。また、我々が協力した某小売企業では、ToMoの高い店員と低い定員とでは売上げに30%もの差が見られた。
※後編に続く
HBR.org原文:How Company Culture Shapes Employee Motivation November 25, 2015
■こちらの記事もおすすめします
「高業績文化」を築く3つのステップ