6つのセンサーで指導するランニングのパーソナル・コーチ

――「Smart B-Trainer(スマートビートレーナー)」は、どのような商品ですか。

小池 中人(こいけなかと) ソニー UXプラットフォーム SE事業室 ユーザーエクスペリエンスプランナー 中央大学総合政策学部卒業後、時計メーカーに勤務し、スポーツウオッチを含む腕時計の商品企画を経験する。その後、ソニーへ入社。現在、「スマートビートレーナー」の商品企画として、世界中のランナーの日々のランニングを楽しくすべく奔走中。自身もランニングをこよなく愛し、フルマラソンのベストタイムは東京マラソンでの2時間56分07秒。

小池 ランニングログを記録し、パーソナル・トレーニングを実現する製品です。「体力づくり」「ダイエット」「レース出場」など、それぞれのユーザーの目的に合わせたトレーニングをサポートします。ヘッドフォン型のデバイスには6つのセンサーがついていて、心拍数や消費カロリー、スピード、ペース、歩数など11のデータを計測しています。大きな特徴は、心拍数を測るバイタルセンサーがついており、耳から脈拍を計測することで、ランニング中の心拍数をとっていることです。

 たとえば、ランニングの目的が「ダイエット」であれば、心拍数はそれほど高くないほうが効果的です。心拍数が一定以上になると脂肪の燃焼率が悪くなるからです。そこで、「スマートビートレーナー」は、音楽と音声で「ダイエット」に効果的な心拍数に導きます。具体的には、ランニング中のユーザーの心拍数がダイエットに最適な心拍数よりも上がりすぎれば、「心拍数が目標より高いです」といった音声アドバイスが入り、よりスローテンポな曲に切り替わります。逆に心拍数が低ければ、「心拍数が目標より低いです」とアドバイスし、アップテンポの曲に切り替わります。また、「レース出場」が目的であれば、アシックス社作成のトレーニング・メニューと連動し、レースの出場日を設定すると、その日に目標を達成できるように計画的なトレーニング・メニューを組み立ててくれます。

 「スマートビートレーナー」は、ワイヤレスの「ヘッドフォン一体型ウォークマンWシリーズ」がベースとなっています。それにセンサーがついたものと考えていただければわかりやすいでしょう。記録できる曲数は、MP3なら最大約3900曲まで。記録した楽曲のなかから、心拍数に合わせたテンポの曲を自動で選んで流す仕組みです。

――開発の段階で苦労したポイントはどこですか。

小池 小型化ですね。そもそもの開発のきっかけが、携帯電話と音楽プレーヤーなどたくさんの物を持って走るのは煩わしいというところからスタートしたので、邪魔にならない大きさにはこだわりました。結果的に「スマートビートレーナー」の重さは43グラムに収まりましたが、そのなかに6つもセンサーを入れようとしたので開発段階では苦労しました。さらに、スポーツ用品のひとつですから、洗っても平気な防水機能、ほこりだらけのところで使っても壊れない防塵機能、落としても平気な耐衝撃機能など、さまざまな機能も43グラムのなかに落とし込んでいます。ソニーの設計チームの努力の賜物だと思います。