●瞑想は創造性を高める

 創造性に関する研究によれば、最も優れた洞察や最大のブレイクスルーを思い付くのは、精神状態がより瞑想的で落ち着いている時だという(英語論文)。つまりそのような時に、ひらめきの瞬間が訪れる。この理由は、瞑想によって、創造性のカギとなる拡散的思考(ある問題に対して可能な限り多くの解決案を思い付くような状態)が促されるためだ(英語論文)。

 社会課題の解決に投資するチャーリー・クライスナーは、瞑想がなければ数々の新しいアイデアや事業は思い付けなかったと語る。「私が100%インパクト・ネットワークを共同創設できたのは、瞑想の習慣があったからです」

●瞑想は良い人間関係をもたらす

 ストレスは、個人やチームの視野を狭め、共感を失わせ、パフォーマンスにマイナスの影響を与える。対照的に瞑想は、情緒を安定させ(英語論文)、他者とつながっているという感覚を強め(英語論文)、実践者の親切心と思いやりを誘発する(英語論文)。

 シラグ・パテルはアムニール・ファーマシューティカルズのCEOで、2011年にはアーンスト・アンド・ヤング主催の「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」にも選ばれている。彼は瞑想によって、顧客との絆をより強く意識できようになったと語る。「単なるビジネス上の取引相手としてではなく、むしろ家族のような感覚で顧客と絆を築いていけるのです」。これは彼の同僚やスタッフとの関係にも当てはまるという。

●瞑想で集中力が高まる

 ある研究によれば、人間は何かをしている時に、約50%の頻度で注意力が逸れてしまう(英語論文)。加えて、仕事を中断させる諸々のこと、携帯メール、インスタントメッセージ、電話の呼び出し、Eメールなどを考えれば、従業員が集中力を保つのに苦労するのも当然だ。しかし複数の研究結果によれば、瞑想の訓練によって、注意散漫になる傾向が抑えられ、集中を保つ能力が強化され、記憶力の増進さえ可能になるという(英語論文)。

 クーパー・インベスターズの創業者、ピーター・クーパーは、自身の賢明な投資判断は瞑想の習慣によるものと考えている。「投資家であるには、大量の情報から少数の的確な洞察を得ることが必須です。“面白いけれど不要な情報”を捨て去り、長期的な投資パフォーマンスに寄与する限られた物事に焦点を絞るうえで、私は瞑想に助けられてきました」

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 瞑想は、単に「やっておいたほうがいい」という追加的なものではない。やるべきことは十分にあるからもういらない、と考えている方には、アリアナ・ハフィントン(『ハフィントン・ポスト』創設者)が私に伝えてくれた次のアドバイスを考えてみよう。

「10代のころから瞑想の効果は知っていましたが、そのための時間を見つけることはいつも難題でした。というのも、私は瞑想を“する”必要があるものと思い込んでいたからです。そして面倒になることをこれ以上“する”ための時間はありませんでした。でも幸運なことに、友人がある日こう指摘してくれたのです。“自分が瞑想をする”のではなく、“瞑想が自分に何かをもたらす”のだと。それで扉が開きました。瞑想の最中に“する”唯一のことは、何もしないことです」

 研究と経験の両方で示されているように、その「何もしないこと」が本当に効果をもたらすのだ。


HBR.ORG原文:How Meditation Benefits CEOs December 14, 2015

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エマ・セッパラ(Emma Seppälä)
スタンフォード大学の心理学研究員。同大学で思いやりと利他主義研究教育センターの共同ディレクターを務める。企業の福利に関するコンサルティングを行い、科学ジャーナリストとしてハフィントンポスト紙や自身のウェブマガジン「フルフィルメント・デイリー」などにも寄稿する。