一方、(3)一般的な組織改善のテーマや(4)自社ケースを選ぶ場合は、自社の戦略テーマや新規事業提案と比較すると研修色が強くなる。一般的な組織改善のテーマとしては、例えば「社内のコミュニケーションの改善」、「人材育成プログラムの改善」といったテーマがあげられる。テーマが一般的なだけにグループディスカッションの前段階で取り立てて特別な準備は必要とせず、また、参加者一人ひとりの知識や経験のレベルにかかわらず、誰もが議論に参加できるテーマである。

 (4)の自社ケースとは会社が過去に直面した戦略上のターニングポイントをケース化し、その教材を基に学習する方法である。登場人物も状況も現実なので、リアリティーに富んだストーリーから、自社の財務情報、製品・サービス、組織体制、競合他社、業界動向など、仕事上役立つ情報や知識を学ぶことができる。ケースの作成に時間と労力を要するが、一度作ってしまえば4、5年は使用することができるので有効な手段とも考えられる。味の素ではリーダー育成のために多くの自社ケースが作られており、その幾つかをGBL育成に応用して成果を収めている。

 M社の場合は、(1)自社の戦略課題をテーマとして取り上げているため、第一会合の4日目に各回のテーマ担当の執行役員がテーマのプレゼンテーションを行っている。ここでは社外秘の情報も多く、また情報は未加工のまま参加者に渡される。参加者たちは約半年間をかけてグループで提言作りをするため、帰国後もそれぞれの役割分担に応じて情報収集や分析を行い、その間メールのやり取りだけでなく、定期的な電話会議等も行わなければならない。

 また、第二会合で来日する際には本社の専門家や顧客のヒアリングなどを通じて仮設の検証を行う。第二会合の多くの時間が、議論とレポート作成に費やされる。そして、最終日には社長以下全役員を前に自分たちの戦略提言を行うのである。M社の場合、この最終提言の質とそのプロセスで発揮された実力は、参加者の今後の昇進を左右する要因となっており、人事発令の多くはプログラム終了後2年以内に出されている。