さらに第二会合までの数ヶ月間も同じコーチにより毎月1回電話によるコーチングが実施され、各自がアクションプランに対してどのような取組みをしているか、障害になっているものはないか等を確認し、サポートする体制をとっている。第二会合でのコーチング面談では、再度アクションプランの進捗状況の確認が行われ、次のステップのアクションプランが立てられる。そして、第二会合の6~8ヶ月後には再び360度評価が行われ、各自のリーダーシップが向上したか定量的に確認する。このように、徹底したリーダーシップ開発のプロセスに沿って、プログラムが構成されている。

シナリオプランニングで経営者の視点を学ぶ

事例2(大手化学品メーカーM社)

 事例2は大手化学品メーカーM社の多国籍GBL育成プログラムである。M社の場合は、第一会合の4日間、そして半年間のインターバルを挟んで、第二会合の4日間というプログラム構成になっている。また、参加者は集合研修とは別にeラーニングを使った経営知識の学習プログラムも1年間に渡り、受講することになっている。

 M社のプログラムでは、モジュールの②基礎経営知識、④自社戦略の理解、⑤アクションラーニングを研修の柱にしている。海外展開の歴史は比較的古い会社であるが、プロダクトライン別の海外進出であったため、海外現地法人の現地マネジャーは担当プロダクトの専門家で、その分野のビジネスしか知らない人が多い。今後はそれぞれの分野を超えてビジネスの拡大を担ってもらわなければならないという必要性から、経営知識、自社の全部門のビジネスと戦略の理解、新規事業の創造という3つを重要視している。

 経営知識に関しては、②基礎経営知識の集合研修とeラーニングの2つを使い、企業戦略、マーケティング、財務会計、人材組織などのテーマを学習する。集合研修において使用するケースはハーバードビジネススクールのものを使用している。④自社戦略のモジュールでは、2日間に渡り各事業本部の執行役員が担当分野の現状と中長期計画について英語でプレゼンテーションし、Q&Aを通じて参加者が各事業部の戦略をしっかり理解するよう促している。

 さらに「戦略シナリオプランニング」という手法を用い、M社を取り巻く10年後のシナリオを複数作り、それぞれのシナリオにおけるM社の戦略と組織についてイメージするような工夫も取り入れている。不確実な世の中、企業の将来を予測するのは困難であるが、「戦略シナリオプランニング」は定量的な予測ではなく、定性的に未来を予見し、来るべき未来に対して準備をするための手法として知られている。アメリカのランド研究所で開発されたもので、欧米企業の多くで長期的戦略プランニングをする際のツールとして使用され、成果を出している。

 10年後のグローバル市場におけるM社の戦略的ポジショニングと、その時の組織や人材のあり方について議論することは、各国からの参加者にはとても刺激的であり、様々な視点から意見を交わすことで、経営側の意識の醸成を図っている。この思考プロセスは、次のステップであるアクションラーニングの事前準備としても重要な役割を果たしている。