住宅供給システムの課題は
20年前もいまも同じ

――先ほど、事業化まではいかなかったとおっしゃいましたが、ここまで精緻に考えられていて、それでも事業化できなかったのはなぜですか。

 第1フェーズが終わった時に、これは通産省(当時)に話を持っていって、通産省で大々的にこのプロジェクトを立ち上げてもらおうということになり、実際に話をしに行きました。

 当時、住宅産業課長だった太田房江さんに会って、話をしましたが、ほとんど理解してもらえませんでした。あくまでも「住宅産業としては……」という彼女と、「いや、そうではなくて住宅供給システムとしては……」という私たちと、押し問答が繰り返されるだけで、結局、それで終わってしまいました。

 住宅産業という枠で考えたのでは、当時の大蔵省や労働省、建設省などは関係のない問題となってしまいます。住宅供給システムとして新しい市場を創出するには、それらの省庁すべてが関わるべきなので、担当官を全員呼んでくださいとお願いしたのですが、ついぞ聞き入れてはもらえませんでした。 

 しかし、1994年に作成した図「住宅供給の良循環」は、現在でもそのまま使えます。20年前もいまも、状況はほとんど変わっていないということです。

 中古住宅市場が大きくなると、新築住宅市場が縮んでしまうなどと、短絡的で間違った議論をしていないで、本質を突いた課題設定をしてもらいたいと思います。放っておいても縮んでいっているのですから。システム・ダイナミックスを活用してどのような因果がめぐるかを十分考えてみることです。

 循環思考については、次回以降もお話ししますが、今回の住宅問題は次のように描くことができます。

 

(構成・文/田中順子)