経営者に求められる「つなぐ」「創る」
そして「決める」スキル

日置 21世紀型スキルに挙げられるようなスキルに加えて、経営という仕事、前回、リーダー(企業家)とマネジャー(経営管理者)に分けた見方で言うとリーダーの仕事は、意志を持って決め、実行しきることにあります。

 とはいえ、圧倒的なリーダーがいて、その人がばしっと決めていくことができればよいのでしょうが、日本企業の実態を見ると、創業者や創業家でない社長がそれをするのは難しいでしょう。

入山 欧米式に、決められるリーダーを連れて来い、というのは簡単ですが、そういう飛び道具が日本企業には馴染まないことも、いくつかの企業のトライアルからわかってきてしまっていますよね。

日置 そこで、気心の知れた少人数でいいから、経営陣が深くコミュニケーションして、中身のある意思決定を着実に積み上げていくのが、日本企業には向くのではないかと考えています。日本の超大企業には、そういう感覚がなくなってきているのではないかと思います。しかし、大企業の中にも、中小企業感覚というか、経営陣の距離が近く、コミュニケーションがきちんと取れるところがある。これはどうだろう、と誰かが言うと、すかさず誰かが反応する俊敏さがあるのではないかと。そういう企業は、概してパフォーマンスも高かったりします。

入山 すごく大事な視点です。私が米国のビジネススクールで教えていた時、最初に取り上げるケースは決まってGEでした。中興の祖ジャック・ウェルチが目指したのが、まさにそれなんです。今でも、ジェフ・イメルトを中心とした少人数でコーポレート・エグゼクティブ・オフィスが形成され、迅速に意思決定していることが見てとれます。結局、欧米企業も日本企業も、よい企業が大切にしているものはそんなに変わらないのですね。

日置 密なコミュニケーションで「つなぐ」、そこで新しい価値を「創る」スキルが、リーダーの、つまりは企業の「決める」力を高めていくのです。そういうスキルへのシフトは、経営の原点を突き詰めて考えた際に本当に必要なスキルへの回帰でもあるように思います。不確実性の高い環境で経営を担っていくためには、より根源的なスキルを身に付けていくことが求められるということでしょう。