新たな競争の舞台

 顧客ロイヤルティをめぐる新たな競争の場は、顧客体験である。

 シンプリシティ指数が数年にわたって蓄積してきた知見によれば、ブランドが「シンプル性の文化」を築くことは、すべての関係者にとってメリットとなる。従業員は、イノベーションおよび優れた顧客サービスの提供を目指すうえで、明快な方針が得られる。そして消費者は、より良いブランド体験を享受し、ロイヤルティによってブランドに報いる。

 成長は常に歓迎すべきことであり、企業の成功のために欠かせない。しかし成長の副作用として、複雑さが増すことも避けられない。プロセスを単純化し、新鮮で明快なブランド体験を生み出すための注意を、企業は常に怠ってはならない。

 シンプル性の追求は、組織のトップから始まるべきものだ。経営幹部は、シンプル化を促す慣行の導入に努力する必要がある。ブランドの目的、つまり何をするブランドなのか、なぜそうするのかを、従業員にとって血肉化しやすい形で明確に表現しなければならない。そして、顧客は企業とそのサービスを、ブランドの目的に照らし合わせて判断する。ブランドをシンプル化し洗練させるためには、組織の内側に目を光らせる必要があるが、最終的には顧客の観点が最も重要となる。

 シンプル性を実現するのは容易ではないが、その威力を活かせる企業は、評判と業績の両面で大きな収穫を得ることができるだろう。

(訳注:シンプル度ランキングの「グローバル」部門での日本企業は、ソニー16位、キヤノン23位、パナソニック27位、トヨタ49位。)


HBR.ORG原文:Why Simple Brands Win November 09, 2015

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マーガレット・モロイ(Margaret Molloy)
戦略的ブランディングを支援するシーゲル・アンド・ゲール(Siegel+Gale)のグローバルCMO。