ネオブルーモデルと緑色方式はどのように違うのか

 ここで、4ボックス上で、ネオブルーモデルと緑色方式を比較してみたい。この比較によって、ネオブルーモデルの特徴をより明確にし、緑色方式(ローカル日本)がどの点を変えればネオブルーモデル(グローバルモデル)に進化できるかを端的に示したい。

 おおまかにいうと、ネオブルーモデルは、右下の組織・認知を起点としつつ、そのほかの3つのボックスにバランスよく重心をかけるモデルとなっている。つまり、4ボックス・ゲーム・モデルはネオブルーモデルを表現するのにおあつらえ向きのプロセスとなっている。この枠組でみるとネオブルーモデルは4つの箱をフルに活用しているという意味で十全なモデルといえる。

 他方、緑色方式は右上のボックスに偏っているという意味で十全とはいえない。この点を少し詳しく見ていこう。

 緑色方式では、まず、思考(下半分)と行動(上半分)との対比で見たとき、行動(上半分)に重心をかける。特に組織・人材マネジメントに関わる設計(思考)は、かなり粗いもので済ませてしまう。というのは、同質的な安定した長期雇用人材を前提にしている緑の組織は、ハイコンテキスト経営がその特徴であり、人的な文脈・文化をあてにしたマネジメントが可能なので、右下でカバーする設計図・ルールのような形式知への依存を軽減できるからである。

 また、緑色方式では、個人とチーム・組織という左右の対比で見たとき、個人よりもチーム・組織を重視する。設計(思考)の段階では、ものごとをわざわざ個人にまでは分解しないで済ませてしまう。この対比は、専門性についてのスタンスの違いが大きく影響している。ネオブルーモデルは、専門性ベースで組織を作り、専門性を担う個人も専門性軸の「職務」で明確に分類されている(職務記述書はその象徴である)。他方、緑色方式では同質性・同調性を重視するがゆえに、専門性による切り分けは、ネオブルーモデルと比べるとゆるやかなものにとどまる(個別職務別の職務記述書は通常作成せずに、課・部単位の職務分掌で間に合わせる)。つまり、専門性・個別性よりも、同質・同調と要約されるようなカルチャーが重視される。

 以上を合わせて考えると、緑色方式は、下半分と左半分が弱く、4つの箱からそれらを除いた右上、つまり、集団行動に重心が偏っている。偏っているが、それで間に合っている。なぜかといえば、日本人・長期雇用・同質性という特徴という人材構成面での特徴に照らせば、4ボックスの右上でなるべくものごとを処理し、他の3ボックスで無駄なエネルギーを使わないことが合理的だからである。一種の省エネモデルになっているわけだ。

 まとめると、ネオブルーモデルは4つのボックスを均等にフル活用してものごとに対処するのに対して、緑色方式は右上の箱でなるべくことを済ませている。この違いの原因は、ネオブルーモデルが異質性に伴う多様な人材を前提にしたモデルであるのに対して、緑色方式は同質で同調性の高い人材を前提にした方式だからである。

 ここで留意すべきは、このように対比されるが、ネオブルーモデルも緑色方式も、4ボックス・ゲーム・プロセスでとらえることができる点だ。言い換えれば、緑色方式もネオブルーモデルにとってのテンプレートともいえる4ボックス・ゲーム・プロセスをまがりなりにも使っている。ただし、その際に、右下の設計図が未発達だったり、左側の専門性別個人という領域の活用が不十分だったりする。それは緑色方式の使い手が怠惰だからなのではなくて、それらをあまり使わずに用を足せるような同質的な人材構成の恩恵に浴していたからである。

緑色方式をネオブルーモデルに変える

 ところが、グローバル化の中でまだら模様化が進行し、緑色方式のこの前提が崩れつつある。すでに述べたように、そのせいでミスマッチが生じているわけだ。

 まだら模様化が進行する中で、同質・同調性は日本的なローカルにのみ成立する事態となっていて、まだら模様全体で見れば、とても、同質・同調が圧倒的なキーノートとはいえなくなっているだろう。ゆえに、右上重心だけではその事態をマネージはできない。そこで、緑色方式に慣れ親しんだ緑色企業の組織・人材にとって、手間のかかる右下・左下・左上を使わざるをえなくなる。これは少なくとも当初は余計な手間となるだろうが仕方がない。それら3つのボックスをしっかり使うことなくして、異質で多様な人々をまとめることは覚束ない。

 その際、とりわけ大切なのが、ネオブルーモデルが起点としている右下の箱にはいる「設計図」である。その設計図が、ネオブルーモデルが想定しているように、諸専門性を備えた多様な人材からなる組織を動かすのにぴたりと照準を合わせたものとなっている必要がある。この点は、次回以降、詳しく説明したい。