新たなビジネスモデルのための“素材”の組み合わせ方

 このように、一般的な創造のプロセスにおいて、多種多様な情報を集めることは、「準備」の質を高め、その後の「ひらめき」へとつながる。ビジネスにおいても、 “情報”は新しいビジネスモデルを“創造”するために欠かせない。では、どのようなフレームワークを使いながら、集めた様々な素材を組み合わせていけばいいのだろう。また、組織として、システマティックに素材たる“情報”を集めていくことができるのだろうか。

 献立作りを例にとってみよう。どうしても作りたい一品があれば、それに必要な素材全てを、どこかで見つけ・買い・作ってみることになる。一品のイメージ、つまりビジョンが先にあり、どのようにすればできるのかを考えている。一方で、冷蔵庫の中にどのような材料があるのかをチェックし、それをもとに何かを作ることもできる。素材から行き先を考えている。また一方で、まだ試したことはないが、間違いなく家族が喜びそうに思える、リコッタチーズのデザートを買ってきて食後に出してみようと考える。これまで経験のないものを輸入する・いち早く持ち込もうとしている。

 これら3種類の考え方を整理すれば以下の通りとなり、新たなビジネスの機会を見つけていくための組み合わせの考え方は、これらの要素を多かれ少なかれ組み合わせて、どのような“絵”が描けるのかを考え、試し、フィードバックを得ていくプロセスになる。

 

1. 課題・ニーズから解決法の発見へ

2. 手持ちの知識・素材・技術などから対応する課題発見へ

3. いち早く持ち込む・組み合わせる

 

 エスクリは、平成22年マザーズに上場、「都市型ブライダルオペレーター」という価値を掲げ、その後も順調に成長を続けている。創業者の岩本博代表取締役会長兼社長は、おしゃれな都市部でウェディングができないかという新郎・新婦側の“ニーズ”、交通の便が良いところなら参加しやすいのにという出席者の“ニーズ”を捉え、ウェディングという“既存=手持ち”のビジネスの素材に、都心部「駅近」という新たなコンセプトを初めて“持ち込み組み合わせ”て、事業を立ち上げ現在に至っている。

 エスクリが現在のビジネスコンセプトにたどり着くまでには、創業者がリクルートにて、ブライダル情報誌「ゼクシィ」創刊プロジェクト参画し、営業責任者として多くのブライダル関係者とやり取りをしてきた膨大な経験、知識が、”あたため”の段階を経て現在のビジネスモデルへの”ひらめき”につながっていることを忘れることはできない。

 新しいアイディアをもとに、企業価値を高めていくためには、“顧客とともに、そして顧客のために”変化し続けることが基本となる。個人単位で高いクリエイティビティを培っていくためには、これまで述べてきたようなプロセスを“愚直”に継続していくことが必要となる