知識だけで、目指す経営はできない
意思だけでも経営はできない

 経営の知識は、大学院や書籍で学ぶことができます。そしてベーシックな知識は属人性がなく普遍的です。誰が教えても財務諸表の仕組みは同じで、生産プロセスの基本も同じです。知識は学ぶもの、知らないとそもそも始まらないものです。

 経営学の専門家が経営者になれると限らないように、知識だけで経営はできません。ここに技術の必要性があります。生産プロセスの基本は同じでも状況や製品に応じて、最適化するのが技術です。資金調達もどのタイミングでどの方法で実施するかという技術が問われます。マーケティングも4Pという知識は備忘録程度に過ぎず、効果的なプロモーションには深い洞察が求められる、これが技術です。技術は状況に応じて異なるので、ケーススタディからいかに学ぶかがカギとなります。

 そして写真の「何を撮りたいのか」に相当するのが、経営の「意思」(Will)です。「どんな会社をつくりたいのか」「社会に何を提供したいのか」「社会をどうしたいのか」。これら意思から、それを実現する技術を学び、あるいは開発するのです。そして、技術は学ぶことができても、意思は人から教えてもらうものではない。そして外部化もできない。だからこそ、経営の意思は最大の差別化要因ともなるのです。

 経営にとって「意思」こそ不可欠なものであることは間違いありません。しかし、その意思を実現させる技術、そして技術の元になる知識なくしては、どんな崇高な意思も形になりえません。確たる意思をもった経営者が、知識と技術を習得し、意思を実現した姿が、「いい経営」と呼ばれるものなのでしょう。意思があればこそ、学ぶべき知識や技術も明確になるとも言えるのです。(編集長・岩佐文夫)