データ、人材、インフラ資源の三つで世界一を目指す

――既存の産業構造に変革をもたらすようなIoT関連サービスの創出に向けては、国としてどのような施策、環境づくりを進めていきますか。

大内 一つの施策として、公的なIoTのテストベッドの構築を検討しています。いろいろな情報を持っているが、その情報をどう活用すれば新しいビジネスになるのかわからないという事業者がいる一方で、ビジネスのアイデアはあるけれど、情報は持っていないという事業者います。中小・ベンチャー企業を含む多様な企業が集まって、コラボレーションすることで新しいサービスを生み出していくような出会いの場づくりに貢献できればと考えています。自由度の高いデータ利活用が許容されるようなバーチャルな特区のようなものがあってもいいかもしれません。

 自由度の高いデータの利活用にあたっては、制度の変更が必要になるケースも考えられます。典型的な例として医療・健康分野の各種データがあります。患者の病歴などを使って新薬の開発などをする場合、機微な個人情報を本来の治療以外の目的で利用するには、厳格な手続による本人の同意が必要になります。実際には、数十万人、数百万人の患者さんの同意を厳格に得ることは難しいので、こうしたケースをどう扱うかは課題です。利用者保護、プライバシー保護も必要ですが、新しいサービスの創出や生活利便性の向上とどうバランスを取っていくか、政府としてしっかり考えていかないといけません。

 最後のポイントが、国際化です。競争力強化に向けて、積極的なデータのグローバル展開が望まれますが、目先の課題としては標準化が挙げられます。家電や住宅設備など、ネットにつながるTが増えれば増えるほど、多様なデータを流通させるために国際標準化の必要性は高まります。公的な国際機関に加え、民間主導のフォーラム型の国際標準化活動についても積極的に支援し、双方に貢献していきます。また、IoT/ビッグデータに関わる先端技術を海外に展開し、相手国とWin-Winの関係を構築していく国際展開支援についても、引き続き注力していきます。

――検討課題のその向こうに描く、IoT/ビッグデータ時代の日本の社会像とはどのようなものですか。

大内 ICT時代の目指すべき社会像とIoT時代のそれは異なるものだという基本的な考え方に立っています。さまざまなTがつながり、AIなどによる膨大なデータの収集・分析が可能になることによって、新たな価値が生み出されるIoT時代には、サービス利用者と提供者の協働・協調が生み出す新たな社会が生まれ、こうした変革を可能とする世界最高水準のICT基盤を備えた社会を実現していく必要があります。データ、人材、インフラ資源の三つの分野で世界一の社会を目指す。それこそ、日本がデータのハブになって、世界各国からどんどんデータが集まってくるような水準に達しないと、IoTの世界では成功したとは言えないのではないでしょうか。キャッチアップするだけでなく、日本発の施策を推進していきたいと考えています。

(構成/堀田栄治 撮影/西出裕一)