IoT/ビッグデータ時代に向けて6つの検討項目を抽出

大内 康次(おおうちこうじ) 総務省 情報通信国際戦略局 情報通信政策課 課長補佐 2001年、総務省に入省。主として情報通信分野に関わり、外務省(欧州連合日本政府代表部)を経て、2015年7月より現職。省内のテレコム政策調整、IoT/ビッグデータに関する政策検討などを担当。

――「IoT/ビッグデータ時代に向けた新たな情報通信政策の在り方」について2015年12月に中間答申が取りまとめられました。ポイントは何ですか。

大内 まず、検討の背景には、「日本再興戦略 改訂2015」があります。そのなかで、IoT/ビッグデータ/AIについては、「産官学の連携」「研究開発・基盤技術の開発」「人材育成・セキュリティ等の課題への対応」などの施策が記載されており、たとえば、2015年10月には、民主導の組織としてIoT推進コンソーシアムが設立されました。これらを踏まえたIoT時代の情報通信政策について包括的に検討するのが情報通信審議会の役割です。中間答申では、データの「収集」「利活用」「グローバル展開」それぞれについて検討項目を抽出し、議論を始めたところです。

 具体的には、「多種多量のデータを支える新たな情報通信インフラ」「データを操る新たな人材育成・セキュリティ強化」「異業種イノベーションを生み出すテストベッド」「円滑な事業化を促す利活用ルール」「特定の機器・サービスに依存しない標準化」「競争力強化につながる国際化」の六つが挙げられます。

 たとえば、情報通信インフラについては、IoT/ビッグデータ時代を支える新たなインフラとして、ソフトウエアで効率的・最適な制御が可能となるようなネットワークの整備促進に向けた取り組みを強化すべきとしています。IoTサービスとして、監視カメラ映像を例に取ると、ふだんは白黒で画像も粗くていいのですが、センサーが反応し、不審者が映り込んだ瞬間に精細なカラー映像に切り替わるようなものが考えられます。これを効率的に実現するには、データ伝送を支える帯域を柔軟に変更する必要があり、個々のオペレーターの操作が必要な従来のネットワーク制御ではとても間に合いません。IoT/ビッグデータ時代にふさわしいのは、ユーザーが必要な時に、必要な容量や品質を提供できるような、統一的で柔軟な制御が可能なネットワークなのです。

 また、IoTを支えるアクセス網については、次世代のモバイル・インフラとして5Gの技術に大きな期待が寄せられており、2020年の実用化に向けた技術開発と標準化活動の強化や、公衆無線LANの全国的な整備促進を進めてまいります。

 IoT時代への対応に伴い、ネットワークにかかわるソフトウエア制御やセキュリティに関する人材のニーズが急速に高まることが予想され、セキュリティ人材については24万人不足するとの試算もあります。これを補完していくには、継続的な人材供給と新たな雇用機会の創出に取り組むことが重要です。またデータを分析したり、データを活用し、新しいビジネスモデルを創出するような人材の育成も大きな課題です。

 人材に関連して、セキュリティ対策も抜本的な見直しが必要です。いままではネットワークにつながることを想定していなかったもの(Things)が、インターネットにつながると、十分なファイアウォールやファームウエアが搭載されていない場合は、セキュリティ上の脅威にさらされるリスクが高まります。通信・放送事業者だけでなく、端末ベンダーなどの関係者を含めたガイドラインの策定なども必要になるかもしれません。