革新技術取込型で成果を上げる、
米日用品大手のキンバリー・クラーク

――代表的なオープンイノベーションの事例を教えていただけますか。

 課題解決募集型のP&Gや、製品企画供創型のウォルマートの取り組みが事例としてよく取り上げられますが、ここでは革新技術取込型の事例として、米日用品大手のキンバリー・クラークの取り組みをご紹介しましょう。

 同社はオープンイノベーションこそが良い製品を生み出すという考えの下、新製品を公募する「Kチャレンジ」というピッチイベントを2012年から定期的に開催しています。一方で、スタートアップとのパイプとなる「D-Labo」を2014年に設立し、デジタル技術や製品アイデアを積極的に自社に取り込むことで、オープンイノベーションを加速させています。

 Kチャレンジは、テーマを決めて年間10回程度開催し、1回につき数百件の応募があります。注力しているテーマは、位置情報技術、オムニチャネル、データ/予測分析、コンテンツ&メディア体験、IoT/ウェアラブル端末の5つです。2015年4月現在、世界の40社近くのスタートアップと提携し、自社内のプロセス改善や顧客体験の向上、新たな商品/サービス開発につなげています。

スタートアップに投資はせず
中立の立場で“橋渡し役”に徹する

――新設組織「アクセンチュア・オープン・イノベーション・イニシアティブ」このプロジェクトにおいて、廣瀬さんのチームはどのような役割を担っていますか。

 スタートアップとの“橋渡し役”を担うなど、大企業がイノベーションを起こすための支援行うのが、チームの主な役割です。そのコンサルティングには次の3つのパターンが考えられます。

 1つめは、従来の新規事業コンサルティングの延長です。新規事業やエコシステムを考える上で、自社で担うのが難しい、あるいは開発に時間がかかる要素に関して、実現手段としてスタートアップを含めた外部活用を提案します。

 次に2つめとして、ワークショップなどを活用し、大企業が持つエンドユーザーがどのような課題、ニーズを抱えているのかに着目し、ビジネスチャンスを発見する方法です。オープンにアイデアを募り、新しいビジネスの種を見極めていきます。

 そして第3には、アクセンチュアの様々な事業で協業しているスタートアップや大企業とのマッチングにより、アクセンチュアのエコシステムを活用するモデルです。アクセンチュアでは、大企業のイノベーション加速のための、業務提携やJV設立を世界中でおこなっています。

 アクセンチュアでは世界中の有望なスタートアップリストを作成・保有しており、それを活用して、スタートアップがどの企業のどんなビジネスのエコシステムにふさわしいかを検討し、両者を結びつけていきます。

 なお、アクセンチュアでは特定のスタートアップへの投資は行っていません。今後注目される技術やアイデアを持っている有望なスタートアップ企業が多いのは事実ですが、投資先を持つとお客様の利害とは関係なく、どうしてもそこを勧めたくなるといったバイアスがかかりやすい。自ら何かを売る立場にないコンサルティングだからこそ、アクセンチュアは大企業とスタートアップとをつなぐ“橋渡し役”として最適なのです。

(構成/河合起季、撮影/宇佐見利明)