――エコシステムを成功させるにはコア事業の見極めも重要になりますね。さらに、今はコア事業であっても時間とともに、コアではなくなる可能性もあるでしょう。

 そうですね。かつてテレビは組み立てることに価値があり、家電メーカーが儲かるビジネスでした。しかし、今儲かっているのは家電メーカーではなく、コンテンツやプラットフォームを提供する企業です。これからは過去の成功体験にとらわれず、どの収益がどのような構成になっているかを示すプロフィットプールを定期的に観測しながら、ビジネスを見直していくことが大切です。

デジタル化の進展などで、新たな
オープンイノベーションの方法が誕生

――では具体的に、大企業が新しい技術やアイデアを取り入れるオープンイノベーションにはどのような方法がありますか。

 方法は大きく分けて、プロセスの連携範囲と外部リソースの活用範囲に応じて4つに類型化できます。

 1つ目は、大学や研究機関と共同で、あるいは企業同士で研究開発を行う「I:共同研究型」です。ご存知のように、これは従来から行われてきました。

 2つ目は、自社でテーマ・課題を設定し、解決手段を広く公募する「Ⅱ:課題解決募集型」です。通常はアクセスできない個人のプロフェッショナルからも知恵を拝借できるメリットがあります。クラウドソーシングに近い形ですね。

 3つ目は、エンドユーザーまでを巻き込みながら顧客が本来求めるテーマ選択・課題設定を行う「Ⅲ:製品企画供創型」です。自社のプロダクトや技術をどのようにしたら顧客に受け入れられるものにできるかを、顧客に直接聞いて製品企画を行います。

 そして4つ目は、自社では検討に至らない革新的な技術やアイデアを取り込む「Ⅳ:革新技術取込型」です。デジタルテクノロジーや他業界の革新的な製品コンセプト、開発済み研究成果などがターゲットになります。

 このうちⅡ~Ⅳ型がデジタル化の進展、スタートアップの盛り上がりの中で新たに生まれてきたオープンイノベーションです。

 大企業だからといってすべての会社が、最終的に自社内に取り込む革新技術取込型に向かうべきというわけではありません。また、前述したエコシステムには、顧客接点を押さえているプレイヤーもいれば、裏側で技術やサービスを提供するプレイヤーもいます。どういう役割を担うのかは、同じ企業でもエコシステムによって異なってくるでしょう。目的に応じてⅡ~Ⅳ型を使い分けていくことが必要です。

 顧客との強い接点を持つ大企業の場合は、自分たちがどういうエコシステムを作っていくかを主体的に考え、まずは課題解決募集型(Ⅱ)や製品企画供創型(Ⅲ)を活用するのがよいかもしれません。その上で、革新技術取込型(Ⅳ)によって社外の優れた技術を社内に取り込み、それに追加開発などを施してⅡ型、Ⅲ型の取り組みに環流する形を模索するべきです。