「探索、把握、共有」による知識習得

 他者との関係構築、情報の探索、観察による意味理解、新たなテクノロジーを賢く使ってアイデアを他者と共有すること――これらの方法を知る人材の有無が、組織の持続的競争優位を左右する。みずからそうなろうと望むリーダーを助けるために、我々は生涯にわたる学習方法として使える「パーソナル・ナレッジ・マスタリー(PKM)」というプロセスを開発した。この方法を用いれば、継続的な「探索、把握、共有」のプロセスを通じて、プロフェッショナルとしての能力開発を自己管理できるようになる。

「探索(Seek)」は、新しい物事を発見し、最新の情報を把握しておくことだ。情報であふれかえっている世の中では、有益な情報を選り分けるための適切なフィルターが必要になる。そして、自分の考えや意思決定の基盤となる情報源を、定期的に見直すことが求められる。

 そのために今日重要となるのは、信頼できる賢い人々のネットワークにつながることだ。そうすることで、自分にとって有益な情報を選り分け、盲点を明らかにし、新たな視点を得ることができる。

「把握(Sense)」とは、情報を自分なりに咀嚼して利用することである。熟考や、学習を実践に移す行為も含まれる。このプロセスの基盤となるのはクリティカル・シンキングであり、自分の考え、経験、印象、感覚を総合して情報から意味を見出す。ブログを書いたり、アイデアを書き留めたりすることで、学習を概念化および強化できる。

「共有(Share)」は、リソース、アイデア、経験を自分の属するネットワークの人々と交換し合うこと、そして同僚や仲間と協働することを指す。共有とは貢献のプロセスであり、知識を伝え、他者と協力し、重要な発見やアイデアから集団的に学んでいくことを繰り返す。ソーシャルネットワークでの共有や聴衆への講演では、妥当性のある情報を発信することで敬意と信頼が醸成される。

 世の中には、上記3つの活動に適したさまざまなデジタルツールが出回っている。それらを利用すれば忙しいスケジュールにも合わせられ、自主的かつ自律的に学習する手助けになる。どのツールを使うかは、その状況と個人の好み次第だ。ツールは重要だが、デジタル時代における知識習得は、人的ネットワークの中で信頼、敬意、妥当性を確立する方法を知って初めて達成される。

 探究、把握、共有を通して、組織内の誰もが「学習する有機体」の一部になれる。その有機体は異なる周波数の情報を聞き取り、広い視野で遠くまで見渡し、十分な情報に基づいてより良い決定をするようになる。まさに1950年のモナコグランプリにおける、ファン・マヌエル・ファンジオと同じように。


HBR.ORG原文:The Best Leaders Are Constant Learners October 16, 2015

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ケネト・ミッケルセン(Kenneth Mikkelsen)
フューチャーシフツの共同創設者。リーダーシップ・アドバイザー、ラーニング・デザイナーとして、講演・執筆活動を行っている。

ハロルド・ジャーキ(Harold Jarche)
個人・企業のネットワーク時代への適応を支援するコンサルタント。リーダーシップ、ソーシャルラーニング、知識習得、職場のコラボレーションについて、実践的なアドバイスも提供している。