最高のリーダーは、最高の学習者である

 変わりゆく社会の中で進むべき道を見つけるには、動かない地図に頼ることはできないし、細部にこだわることで複雑な状況に対処しようと望むこともできない。そんなことをすれば、ホルヘ・ルイス・ボルヘスとアドルフォ・ビオイ=カサーレスによる1946年の短編小説“On Exactitude in Science”(科学の厳密さについて)で描かれた罠に陥ることになるだろう。

 それはこんな話である。ある帝国の地図製作者たちが、縮尺1分の1のあまりに詳細な地図を作成したため、帝国の全領土を覆うことになる。後世になり、この地図は役に立たないとして砂漠に捨てられ、帝国から地形学という分野がなくなる。これは不条理と意図せぬ結果についての物語であり、現代のリーダーたちはこの2つをよく理解できるはずだ。

 21世紀において進むべき道の再発見を実現し、レレバンス(物事に対する関連性、妥当性)を維持するには、自身の考え方、学び方、行動、存在を変化に適応させることが求められる。リーダーは、絶えず物事が途上にある状態、言うなれば「常にβ(試用)モード」の環境に慣れなければならない。社会の変化を把握しているリーダーは、変化への受容力と学習能力によってそれを可能としている。どんなスキルであれ、約5年で半減期を迎える時代には、リーダーは組織のレレバンスを確保するために、視点を新たにしていく責任がある。

 ネットワーク化された創造経済への移行を目指す社会で求められるリーダーとは、学習を促進すると同時に、素早く適切な方法で自主的に学ぶ人間だ。目の前に立ちはだかる厄介な諸問題に対処する方法は、それ以外にはない。そして働くことと学ぶことがイコールであるなら、リーダーシップの真髄とは「学習を可能にすること」であると考えられる。

 デロイトの最近の調査報告「グローバル ヒューマン キャピタル トレンド2015」では、回答者の85%が学習を「重要」または「極めて重要」と評価している。にもかかわらず、これまで以上に多くの企業が「学習という課題に取り組む準備ができていない」と報告している。

 ジョン・ヘーゲル3世、ジョン・シーリー・ブラウン、およびラング・デイビソンはかつて、「効率性を拡大するための組織」から「学習を拡大できる組織」への大きな変革について説明している。そのカギは、従業員がナレッジの流れに触れて、参加できるようにすることだ。それらのナレッジとは、他者と連携・協働する新たな方法や、より素早くかつ賢く優れた仕事を成し遂げるための新たな手段を学べる、既存の考え方に捕らわれない知識を指す。