記憶を知ることが成功の近道となる

 広告や宣伝に関わる人には当たり前のことだが、記銘と想起、どちらの目的で広告や宣伝を行っているのか、しっかりと理解しておく必要がある。覚えるときに覚えやすいプロセス、思い出すときに思い出しやすいプロセスがそれぞれあるからだ。そして思い出しやすいラベルとは何かを探り、商品の価値を高める取り組みを行うことが必要である。

 たとえば新商品を買ってもらいたいとき、その商品の内容を事前に知って覚えておいてもらう(記銘する)ことは重要である。ただ、思い出してほしい場面、すなわち商品を購買する瞬間に思い出して(想起して)もらわなければ、いくら覚えてもらっていたとしても買ってもらうことはできない。つまり、「思い出す」想起のプロセスの理解、また想起させやすい方法を知ることは、ビジネスには欠かせないのである。

 何が記憶しやすく、思い出しやすいラベルなのか。いかに脳に記憶(記銘)してもらい、必要な場面で記憶を呼び起こす仕掛け(想起)をつくるか。そして、その一連の脳活動をいかに脳の負担を減らしながら行うのか。

 多くのB2C企業において、経験的に確立してきた従来のマーケティング手法が試し尽くされ、それでも常に変化する消費者の好みが理解できていない現状では、科学的に記憶を探ることが、遠いようで成功への近道ではないだろうか。

 次回更新は、1月22日(金)を予定。

 

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