CE時代でも日本の“ものづくり”は
十分に生かせる

――日本の強みである"ものづくり"はCE時代にも生かすことはできますか。

 製品のサービス化やシェアリングにおいても、結局は製品を長く使い、稼働率を上げていくことが利益アップにつながります。それには耐久性に優れた製品が必要ですから、日本のものづくりの力を生かすチャンスは十分にあるでしょう。

 例えば、カーシェアリングに100台投入し、耐用年数を経て回収した100台を分解して、80台程度を再生できるようなモジュラー設計(標準化された部品の組み合わせによる製品設計)は可能なはずです。

 実際、グーグルでも、LEGO(レゴ)ブロックのようにモジュールを組み合わせてスマホを自作できる「Project Ara(プロジェクト・アラ)」を立ち上げています。機種変更のために丸ごと買い換えていたものが、モジュールの入れ替えでアップグレードできるんですから、素晴らしいシステムだと思いませんか。そして、このような製品寿命を延ばすモジュール化やものづくりの工夫こそ、日本の“お家芸”ではないでしょうか。

日本企業の新事業検証は規模が小さい
経営者は覚悟を決めて、ドカンと実施せよ

――CE時代に日本の経営者はどう挑むべきでしょうか。

 まずは、これまで紹介してきたようにCEとデジタル技術、ビジネスモデル革新を融合させることによって、ムダからお金を生み出せば、競争優位性を獲得できることをしっかりと認識することが必要でしょう。そして、CE型ビジネスを中心とした事業への転換を図る場合は、どの領域でどのようなサービスを展開するかを慎重に見極めることが大切です。

 実際に製品のサービス化やシェアリングなどに取り組むときは、ビジネスのスピードとスケールがポイントになります。

 例えば、カーシェアリングの場合、自動車メーカーにとっては販売台数・売り上げの減少を招きかねないため、いきなり自社内で始めると組織内に矛盾が生じます。そうした混乱を回避してビジネスのスピードを上げるため、多くの大手企業では新規事業を切り出し、子会社でスタートさせるのが一般的。先に紹介したダイムラーやミシュランもそうしています。

 また、製品のサービス化やシェアリングはトランザクションベースのビジネスですから、ある程度のスケールがないと儲かりません。ご存知のように、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンのようなインターネット企業は、まず圧倒的なユーザー数とシェアをとりにいき、それから利益を出す仕組みを作っていきます。最初にスケールを追求することが成功の条件なのです。

 ところが、実証実験は立ち上げまでに時間がかかり、かつ進化が遅い。シェアのようなビジネスを成功させるには、クリティカルマスを迅速に構築しない限り利用者が本当のメリットを実感できず、「日本人にはシェアリングは向いていない」という結論になりかねません。パイロットモデルはスピード感をもって大規模展開(スケール)することが必要なんです。

 日本の製造業がビジネスモデルの転換を図るのは容易なことではないでしょう。しかし、世界の潮流と同じように大手企業がCE型事業への転換に成功し、徐々に広がっていけば、いずれ“ものづくり”の技術を生かした革新的なモデルが日本から誕生する可能性は十分ある。私はそう思うし、またそれを大いに期待しています。

(構成/河合起季)