ダイムラーが別事業体で大規模テストを行うカーシェアリング「Car2Go」は乗り捨て自由なサービスを実現している(出所:Harrison West

 一方、「所有からシェアへの転換」では、独自動車メーカー、ダイムラーのカーシェアリング「Car2Go」が乗り捨て自由、1分単位の課金、スマホアプリによる車両検索・予約といったサービスでカーシェア市場のトッププレイヤーになるまで躍進しています。

「製品寿命の延長」では、仏自動車メーカーのルノーが回収した自社の使用済み部品を、同じ品質の部品材料として再生し、それで再び部品を製造して安い価格で提供する取り組みを始めています。

 また、「回収とリサイクル」では、米ゼネラルモーターズがアルミボディの車体を導入した際、これまで製造過程で破棄されていた資材を集める仕組みをつくり、工場の破棄コストをゼロにしたうえ、再生資材を他社に販売することで収益を上げています。

 日本でもリサイクルへの取り組みは盛んですが、動脈産業と静脈産業が連携していないため、結果的にリサイクル材が不十分かつ高コストになり、製品の価格が高くなっているケースがよくあります。CE型ビジネスモデルは、CSR(企業の社会的責任)活動と勘違いされがちですが、社会貢献ではなく、あくまでもムダからお金を創出することを目的としているのです。

日本企業が製品のサービス化と
シェアリングに弱いワケは?

――5つのビジネスモデルのうち、日本はとくに「製品のサービス化」と「所有からシェアへの転換」が弱いように思われますが、それはなぜでしょうか。

 じつは製品をサービス化することは、製造業にとってはものすごく難しいことなんです。まず、サービス化によってこれまで販売時に一括して売り上げられていたものが均されたり、製品の稼働率が上がるため、生産量や売り上げが一時的に大幅にダウンすることが予想されるので、本能的に拒否反応が強いという面があります。

 サービス化に必要なオペレーティングモデルやITシステムを持っていない点も障壁になっています。わかりやすい例でいうと、大手自動車メーカーは100台、200台、あるいは金額で何億円単位を取引するシステムは持っていますが、カーシェアリングに必要な、1円単位を秒単位にトランザクションするITバックエンドは持っていません。

 とくに大きな製品を作っているマニュファクチャーがサービス化に転換する場合は、事業全体を変えなくてはいけないほど、上から下までの抜本的な改革が必要になります。

 さらに、消費者ニーズの捉え方も大きく変えなければなりません。

 これまでの製品を売り切るだけのビジネスでは、こういうタイプの人はこういうモノを所有したいだろう、というマーケティングを基に販売を行っていました。クルマでいえば、30代後半で妻と子供がいる人だからファミリーカーがほしいだろう、というマーケティングですね。

 しかしそれがデジタル技術を活用したCE型サービスでは、これまでファミリーカーを選んでいたかもしれない人が、通勤のときはコンパクトカーに、家族と一緒に出掛ける週末はボックスカーに乗りたいといったように、移動シーンに合わせて乗り換えることを求めるようになります。さらにこのモデルでは、これまでクルマを持たなかった人もターゲットになってきます。こうした消費者ニーズを正しく理解することが大変重要で、そこが既存の自動車メーカーにとっては大きな悩みになるのではないでしょうか。